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エミネムの初主演映画“8 Mile”について徹底解説

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“8 Mile”は2002年に公開されたエミネム(Eminem)の初主演映画で、エミネムにとって3作目の映画出演作品である。脚本はスコット・シルバー、監督はカーティス・ハンソン。メインキャストにはMekhi Phifer、Brittany Murphy(ブリタニー・マーフィ)、Anthony Mackie(アンソニー・マッキー)、Kim Basinger(キム・ベイシンガー)らが名を連ねている。エミネムの自伝的要素を含んだこの映画は、白人ラッパーのジミー・スミス・ジュニア(Jimmy Smith Jr.)が、アフリカ系アメリカ人中心の世界“ヒップホップ”で成功を掴もうとする姿が描かれている。

映画のタイトル“8 Mile”は、デトロイト市と北部郊外との境界である“8 Mile Road”(8マイル・ロード)が由来となっている。8マイル・ロードは物理的な境界線であると同時に、心理的・文化的な事実上の境界線でもある。デトロイト市の北側の境界線である8マイル・ロードは、アフリカ系アメリカ人が多く住むデトロイト市の中心部と、白人の多い北側の郊外を隔てている。

エミネム初主演映画”8 Mile”のストーリー

映画の舞台は1995年秋のデトロイト。エミネムが演じるジミー・スミス・ジュニアは、自動車工場に勤める労働者だ。 親元を離れていたジミーは、アルコール依存症の母親ステファニー(キム・ベイシンガー)、妹リリー(クロエ・グリーンフィールド)、母親の同棲相手グレッグ(マイケル・シャノン)が暮らす荒れ果てたトレーラーハウスに戻ってきた。若き白人ラッパーのジミー(MCネーム=B・ラビット)は、ヒップホップで成功するという夢を叶えるために、自分の中の力を振り絞って境界線を越えようとする。

エミネムの半生をベースにした半自伝的映画

2002年当時Yahoo! Music(米国)に掲載されたLAUNCH Media “Dave DiMartino”によるインタビュー

LAUNCH:まず、あなたの映画”8 Mile”について教えてください。

エミネム:「オーケー。この映画は俺自身の話ではない。俺の人生を描いたストーリーではないし、この映画で俺自身を演じてるわけではない。映画の中で俺と似た青年“ジミー・スミス・ジュニア”を演じてる。基本的にはただのヒップホップ映画なんだけど、ドラマチックなんだ…ヒップホップ映画で音楽を扱って、なおかつドラマチックなヒップホップ映画って、そんなにないと思うんだ。大掛かりな作りになっているしね。音楽についての物語であると同時に、この青年がどこでどのように成長していくのかという物語でもある。8 Mileの境界線は基本的にデトロイトのカラー(人種)ラインなんだ。必ずしも富裕層と貧困層を分けているわけではないけど、色の境界線のみたいなものだ。その両側で育つ青年の話なんだけど、彼はその間に挟まれている。住んでいる場所や、白人であること、自分自身を愚かだと恥じている……。」

アカデミー賞受賞のカーティス・ハンソンが監督

カーティス・リー・ハンソン(Curtis Lee Hanson)は、アメリカの脚本家、プロデューサー、監督である。監督作品には、サイコスリラー映画“The Hand That Rocks the Cradle”(邦題:『ゆりかごを揺らす手』)、ネオノワール犯罪映画 “L.A. Confidential”、コメディ映画 “Wonder Boys”、ヒップホップ映画 “8 Mile”、ロマンティックコメディドラマ “In Her Shoes”、テレビドラマ “Too Big to Fail”など。
また、ブライアン・ヘルゲランド(Brian Helgeland)と共同で “L.A. Confidential” を執筆し、1998年にアカデミー脚色賞を受賞している。ハンソンは、全米監督協会 (Directors Guild of America)に所属していた。

2016年9月20日、ハリウッドヒルズの自宅にて死去、71歳。

カーティス・ハンソンがエミネムについて語る

2002年当時BBC(英国)に掲載されたAlec Cawthorneによるインタビュー

Alec Cawthorne :エミネムが俳優として人々を驚かしてくれるのでしょうか?

カーティス・ハンソン:「それは、その人の期待値によると思います。彼はこれまで(俳優業を)やったことがない。それは、彼にとっても私にとっても本当の意味で挑戦だった。実際のところ、彼は答えてくれた。私がこれまで仕事をしてきた最高の俳優たちが与えてくれたものをね。彼は私に敬意を払い、完全な献身を示し、私たちが語ろうとしているストーリーに真摯に取り組んでくれました。その結果、スクリーンデビューは素晴らしいものとなった。私はその一員となれたことを非常に誇りに思っている」

Alec Cawthorne : 彼にとってどれほど難しいことだったのでしょうか?

カーティス・ハンソン: 「信じられないくらい大変でした。彼は他のすべてのこと(音楽活動)を保留していました。彼は映画の全てのシーンに出演していますし良い作品にしたいと思っていた。このデビュー作は本当に人々を驚かせるものになると思います。撮影の最終日に、私は彼に『どんな気分?』と聞きましたが、彼は『二度とやらない』と言っていました。それくらい大変だったのです」

キャスト:人気ラッパーも出演しラップバトルも見ごたえ満載

音楽を題材にした映画ということもあり、劇中ではラップバトル、フリースタイル、サイファーなどが数多く映し出されている。エミネムも所属するヒップホップグループ“D12”のリーダー、プルーフ(Proof)はリル・ティック(Lil’ Tic)役として出演。映画冒頭シーンのラップバトルで、ラビットを“チョーク”(詰まらせる)させる。

エミネム初主演映画“8 Mile”のラップバトルを振り返る

アレックス・ラテルノ(Alex Laterno)役:ブリタニー・マーフィ(Brittany Murphy)

アレックス・ラテルノはモデル志望でニューヨークへの進出を目指していたが、ジミーが働くプレス工場での出会いがきっかけで交流が始まる。ジミーは一瞬にして彼女に惹かれた。ラビットのラップに衝撃を受けた彼女は、ラビットが自分自身を信じ、アーティストとしての勇気を持てるようサポートする。

デヴィッド・”フューチャー”・ポーター(David “Future” Porter)役:メキ・ファイファー(Mekhi Phifer)

フューチャー(デヴィッド・ポーター)は、主人公ラビットの親友で、シェルターでアンダーグラウンド・ラップ・バトルのホストを務めている。ラビットがシェルターで喉を詰まらせた後もバトルに参加するよう励ます。グラミー賞・アカデミー賞受賞曲の主題歌“Lose Yourself”の曲中にはフューチャーを演じたメキー・ファイファーの名前が出てくる。

パパ・ドック(Papa Doc)役:アンソニー・マッキー(Anthony Mackie)

ラビットのクルー“Three One Third”と敵対するグループ“Tha Free World”のリーダー・パパ・ドック。ラビットの敵役として様々な場面で立ちはばかる。後にアベンジャーズ・シリーズのファルコンを演じることになるアンソニー・マッキーのメジャー映画デビュー作。

マイク(Mike)役:イグジビット(Xzibit)

エミネムと同じくデトロイト出身のラッパー、イグジビットが友情出演。イグジビットが演じたマイクは、ランチ・トラックでのフリースタイルの場面で登場する。

当時のヒップホップシーンを再現した“劇中使用曲”

この映画の舞台1995年のヒップホップシーンを再現している挿入曲をピックアップ。劇中使用曲を集めたサウンドトラック・アルバム“More Music from 8 Mile”も発売された。

Shook Ones Part II | Mobb Deep

ニューヨークのヒップホップ・デュオ“Mobb Deep”の代表曲。映画のオープニングとラストバトルに使われたこの曲は1995年2月発売。曲名の“shook one”の意味は、『普段はタフであるかのように振舞っているが、殺人や犯罪に直面すると怖くなって逃げ出す“腰抜け野郎”』のことを指している。1994年にアルバム“The Infamous”のレコーディングを始めた当時、Prodigy(プロディジー)とHavoc(ハヴォック)は共に19歳だった。

Juicy | The Notorious B.I.G.

The Notorious B.I.G.のデビューアルバム“Ready to Die”からのファーストシングルで1994年8月発売。この曲は、ピート・ロックが制作したオリジナル・バージョンをもとに、ポークとショーン・コムズがプロデュースしたものである。

Gotta Get Mine | MC Breed Featuring 2Pac

MCブリードがトゥパック・シャクールをゲストに迎えたこの曲は1993年6月発売。MCブリードのセカンド・スタジオ・アルバム“The New Breed”のリード・シングルである。このシングルは、“Billboard Hot 100”で96位、“Hot R&B/Hip-Hop Songs”で61位、“Hot Rap Songs”で6位を記録。

興行成績

2002年11月8日にアメリカで公開された“8 Mile”は最初の3日間で5,450万ドルを稼ぎ出し、アメリカ国内の興行成績で一位を獲得。これは、米国映画史上、R指定映画のデビューとしては当時2番目に高い金額だった。(『ハンニバル』が5,800万ドルの記録を持っていた)

日本では2003年5月24日に公開。初週から2週続けて全国週末興行成績1位を記録。日本での興行成績は15.1億円で、2003年の年間洋画部門で24位を記録している。(洋画部門1位は『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で173億円)

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コメント

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