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【和訳】エミネム / Eminem – Infinite【日本語】

コラム

エミネムのキャリア初期に制作された初のスタジオ・アルバム”Infinite”(インフィニット)から、”Infinite”の和訳動画を公開しました。1995年に”Soul Intent”の一員としてリリースされたテープ以来のスタジオアルバムであり、それまで”M&M”として活動してきたマーシャル・マザーズが”Eminem”として始動したアルバムでもあります。

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キャリアの”土台”を作ったアルバム

このアルバムはデトロイトの”Web Entertainment”(ウェブ・エンターテインメント)で制作され、プロデューサーは”Bass Brothers”(ベース兄弟)と”dEnAun”(D12のMr.ポーター)。そして”Proof”(D12のプルーフ)もドラマーとして参加している。ベース兄弟はエミネムがメジャーデビューした後も共に楽曲制作を行っている。ヒップホップ史上最大のヒットアルバムとなった”The Marshall Mathers LP”でも”Dr.Dre”(ドクター・ドレー)と共にプロデューサーとして参加し、クレジットされることになる。Mr.ポーターとプルーフは後にD12としてグループでメジャーデビューを果たす。Mr.ポーターは現在でもバリバリに楽曲制作を続けている。残念なことにプルーフは2006年に銃撃され亡くなってしまう。このアルバムは1996年11月12日に発売される。発売当時は世間から評価されることは無かったが、制作に携わった主要メンバーはその後に脚光を浴びる事になる。

世間からの厳しい評価

エミネムが”Infinite”制作当時を振り返った際「みんなからNas(ナズ)に似ていると言われた」と語っていた。実際に”Infinite”(曲)の構成はイントロにNasの曲から引用された箇所が2節ある。

One time for your motherfuckin’ mind

“Infinite”/Eminem

この部分はナズの傑作アルバム”イルマティック”に収録されている曲”One Time 4 Your Mind”から引用、改変。

We represent the 313

“Infinite”/Eminem

「俺達は313(デトロイト)の象徴だ」という部分はナズの”イルマティック”に収録されている曲“Represent”を意識したワードチョイスだと言われている。そして、ビートはナズの”イルマティック”に収録されている曲“Half Time”を連想させるという意見もある。2020年の8月に”Infinite”制作当時を振り返ったMr.ポーターは「彼(エミネム)は何が流行っているのか踏み込んでいった。当時(1996年)は、ナズ、AZ、LL Cool Jだったんだ。」と語っていた事から、ナズを意識していた事は間違い無いと思われる。

エミネム自身も発売から20年以上たった現在でもナズの”イルマティック”は「真似できないし傑作だ」と発言している。

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歌詞について深堀してみる

自分なりの解釈で和訳した動画を公開しています。その中でも気になる点をこのページの中で深堀していきます。

I’m sliming grills of roaches, with spray that disinfects
(俺は殺虫スプレーでゴキブリ共のグリルをベタベタさせてる)

“Infinite”/Eminem

1996年当時、エミネムは”Gilbert’s Lodge”というファミレスで働いていて最低賃金で料理や皿洗いをしていた。ヒップホップカルチャーの中で”grill”(グリル)と言うワードは”歯のアクセサリー”を指す意味でもあるが、この一節での”グリル”は”調理用の金網”を指しているだろうとの事。ラッパーを目指す傍ら、パートで稼いだ僅かな給料で生活していた現実を表現している。

他のラッパーと自分を比較

Verse1からVerse3まで1曲を通して、(自分自身と比較して)スキルも無いのに売れている偽物ラッパー達に対する言及が散りばめられている。ヒップホップという”ブラックカルチャー”の中で、経験した様々な葛藤が含まれているんだろうと思われます。実際のところドクター・ドレーがエミネムとレーベル契約する際に「こいつの目は青いじゃないか!(白人じゃないか)」と周囲から反対の声があったと語っている。(この件はネットフリックスで公開中の”
ディファイアント・ワンズ”でドレーが語っている)

You look insanely wack when just a fraction of my tracks runs
(俺の曲が少し流れただけで、お前は狂った変人みたいに見えてくる)

“Infinite”/Eminem

My lamination of nar-er-ration, hits a snare and bass/On a track for duck rapper interrogation
(俺のナレーションの積層が、スネアとベースにヒットする/偽物ラッパーを尋問する曲の上でな)

“Infinite”/Eminem

MC’s are feeble, I came to cause some pandemonium
Battle a band of phony MC’s and stand the lonely one
(MC達が弱々しいから、大混乱を起こしに来た
偽物MC達の集団と戦い、孤独な境遇に耐える)

“Infinite”/Eminem

‘Cause there’s a monster real in me that always wants to kill MC’s/Mic nestler, slammin’ like a wrestler
(俺の中には常にMC達を殺したいという怪物のような意志がある/心地よくマイクを握って、レスラーのように強く叩きつけてる)

“Infinite”/Eminem

Here to make a mess of a lyric-smugglin’ embezzler
(リリック(歌詞)を密輸する横領犯達を台無しにするためにココにいる)

“Infinite”/Eminem

ラップで生きていく覚悟を持った仲間の存在

So this is for my family, the kid who had a cameo/plus the man who never had a plan B
(だから、コレは俺のファミリーと、この前の俺のライブにカメオ出演したキッドのためだ/加えて、プランBを決して持たなかった男)

“Infinite”/Eminem

曲の終盤に出てくるこの一節は、”Soul Intent”のメンバーとしてマーシャルやプルーフと共に活動していた”Chaos Kid”とプルーフ、ファミリー(仲間)に向けた一節。特に強調しているのが”プランBを持たなかった男”であり、これはプルーフの事。エミネムのキャリアを振り返った時に必ずプルーフの名前が上がってくる。それだけこの二人は強い絆で結ばれていて、共にラップで生きていく覚悟を持った存在だったんだろうと思う。

メジャー・デビュー後、ドクター・ドレーの元でレコーディング重ねていたエミネムは「(以前は)ライミングの事ばかり考えていたけど、(今では)発音の事まで考えるようになった」と”アングリーブロンド”の中で語っていた。この”Infinite”はその”粗削りな”部分が残った声が、当時抱えていたであろう”葛藤”を想像させてくれる曲だと勝手に解釈しています。

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コメント

  1. バスコ より:

    懐かしいですね、当時はbackstabberがお気に入りでした。20年来のエミネム好きにオススメの他のラッパーがいれば教えて下さい。slaughterhouse全盛期のcrooked-Iや、drum muederをやってた頃のhorseshoe gangのようなリズミカルなライミングをするラッパーが最近見つからなくて・・・

  2. […] 1995年12月25日にヘイリーが生まれた時、父マーシャルは23歳、母キムは21歳であった。この時二人は未婚状態。マーシャルはヘイリーの誕生を祝って右腕に“Hailie Jade”とタトゥーを入れている。ヘイリーの両親は経済的に苦しい日々を送っていた。マーシャルは家族を養うため、娘が苦労しないようにとギルバート・ロッジ”Gilbert’s Lodge”というレストランで働いていた。そして、この時期にエミネムは初のスタジオアルバム”Infinite”の制… […]

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