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【発売20周年】エミネム“The Eminem Show” 徹底解説【前編】

コラム

アメリカの老舗音楽雑誌「ローリングストーン誌」(Rolling Stone)はThe Eminem Showについて『エミネムはThe Eminem Showで、史上最高のラップ・ロック・アルバムを作ったと言えるかもしれない』と評した。The Eminem Showは、米国で2002年に最も売れたアルバムであり、2002年に世界で最も売れたアルバムとなった。2022年に全米レコード協会(RIAA)12×プラチナに認定された。全世界で2700万枚を売り上げ、史上最も売れたアルバムの一つとなり21世紀で2番目に売れたアルバムとなっている。

「MTV Music Awards 2002」で“White America”をパフォーマンスするエミネム

アルバムコンセプト

2002年、米国の音楽誌Spinの取材に対し「最終的には自分を奮い立たせるためのドラマが必要なんだ。2000年の“The Marshall Mathers LP”では、世間が言っていることをすべて受け止めて、それが俺にとっての弾薬になった。その後、少し落ち着いてきたときに、私生活で別の混乱があった。それを“The Eminem Show”で吐き出すことができたんだ。今は人生の次の段階を待つだけだ。でも、常に何かが起こっているような気がしている」と語っている。

私生活での混乱とは?

このインタビューでエミネムが語った「私生活での別の混乱」とは、2000年6月に拳銃不法所持による2度の逮捕、キム・スコット(Kim Scott)との離婚騒動、実娘ヘイリーの親権を巡った争いなどがある。

「ヘイリーの親権を巡った争い」についてはこちらをクリック

2000年、手錠姿で裁判所に出廷したエミネム

ジム・キャリーが“The Eminem Show”を作った⁉

このアルバムのインスピレーションは、ピーター・ウィアー(Peter Weir)監督による1998年のSFコメディドラマ映画『トゥルーマン・ショー』(The Truman Show)から得たと述べている。この映画でジム・キャリー(Jim Carrey)は、知らず知らずのうちにテレビ番組の中に住んでいる主人公トルーマン・バーバンクを演じ、彼の私生活は世界中に放送されていた。

エミネムはこの映画の影響について、「その頃、俺の人生はサーカスになっているように感じていたし、いつも誰かに見られているように感じていた。要するに、ジム・キャリーが俺のアルバムを作ったようなものさ」と語った。

アルバム制作について

2002年にローリングストーン誌のインタビューに応じたエミネムは、3作目のメジャー・アルバムに向けて「最初に作った曲は”Sing for the Moment”で、”Cleanin Out My Closet “が2曲目だった」と語っている。

ROLLING STONE誌2002年7月号の表紙を飾ったエミネム

「”Cleanin Out My Closet”では “I’d like to welcome y’all out to The Eminem Show”(『ザ・エミネム・ショウにようこそ』)という一節があって、それは単なる詩だったんだけど、じっくり考えてみたら 『俺の人生は本当にクソみたいなショーだ』って思ったんだ。このアルバムに収録されている曲は、去年感じていた“刑務所に入るかもしれないという不安”や、離婚にまつわる感情で苦しんでいたときに書いたものなんだ。去年は、訴訟、離婚、刑務所の危機など、いろいろなことがあったけど、すべて同じ年に解決した。そして、その時期にアルバムの半分が書かれたんだ」

“I don’t need no shrink”,Rolling Stone Double Issue July 4, 2002

主演映画の撮影と同時進行

エミネムは初主演映画『8マイル』(2002年10月公開)の撮影と同じ時期に“The Eminem Show”のレコーディングを始めていた。『8マイル』は2000年にプロジェクトが立ち上がり、2001年9月から撮影が開始された。

“The Eminem Show”は2001年に制作に取り掛かっており、アルバムの大半はエミネム自身によるセルフプロデュースである。また、メジャーデビュー前からの長年のコラボレーターであるジェフ・ベース(Jeff Bass)も共同プロデュースとしてクレジットされている。シングル曲のほとんどがエミネムとジェフ・ベースの共同プロデュース曲である。(“Without Me”,“Superman”,“Cleanin’ Out My Closet”,“Sing for the Moment”,“White America”)

ドクター・ドレー(Dr.Dre)は、このアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされているが、“Business”、“Say What You Say”、“My Dad’s Gone Crazy”の3曲をプロデュースした。

アルバム・セールス

当初、“The Eminem Show”は2002年6月4日に発売される予定だったが、2002年5月上旬に海賊版がP2Pネットワーク経由でオンラインに音源が流出した。また、米国のラジオ番組“Opie and Anthony”は2002年5月17日に発売前のアルバムを全曲を放送した。

インタースコープ社は予定より早い5月28日にアルバムをリリースすることにしたが、アメリカ中の多くの店が5月26日に販売を開始した。多くの小売店による前倒し発売の影響で、アルバムはチャート週の公式販売期間が1日しかない状況となった。

“The Eminem Show”は初日に約28万4千枚を売り上げビルボード200で1位を獲得。1日間の売り上げのみでチャートのトップに立ったのは史上初めてのことだった。翌週、最初の全週販売で132万2千枚を売り上げ、3週目に80万9千枚、4週目に52万9562枚と4週間の売り上げ合計を300万枚弱とした。5週目にも38万1000枚を売り上げ、ビルボード200で5週連続首位となった。2011年3月7日、出荷枚数1000万枚で全米レコード協会 (RIAA) からダイヤモンド・アルバムに認定された。

世界19か国でチャート1位を獲得

“The Eminem Show”は全世界で2700万枚を売り上げ、史上最も売れたアルバムの1つとなり、エミネムのベストセラーアルバムとなっている。米国以外の18カ国でもチャート1位を獲得。アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ共和国、オランダ、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカ、スウェーデン、スイス、イギリスである。また、全英アルバム・チャートでは5週連続で首位を獲得した。

日本での売り上げは?

2002年 アルバム年間TOP100」で96位にランクイン。年間売り上げは21万5640枚を記録。また、s週間チャート最高順位は3位であった。

後編では楽曲解説を予定しています。

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