2002年11月6日に公開されたエミネムの初主演映画“8 Mile”(日本での公開日は2003年5月24日)
主題歌の“Lose Yourself”で『第75回アカデミー賞歌曲賞』(Academy Award for Best Original Song)を受賞してから17年後の2020年2月10日、エミネムがサプライズで登場し“Lose Yourself”をパフォーマンスした。
エミネムは2003年に開催された『第75回アカデミー賞』を欠席していたため、賞を受け取ることは勿論、パフォーマンスを披露することもなかったが、2020年のアカデミー賞でステージに立つチャンスが訪れると、この機会(opportunity)を掴むことに決めたと語っている。
関係者の話によると、リハーサル中は会場が封鎖されており、このサプライズ出演がメディアに漏れた場合はサプライズ出演中止の選択肢もあった。
2003年当時のアカデミー賞を欠席した理由
2003年、第75回アカデミー賞授賞式ではプレゼンターのバーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)が“Lose Yourself”の受賞を発表。しかし、その場にエミネムの姿はなく、プロデューサーのルイス・レスト(Luis Resto)が登壇しエミネムの代理として受賞した。エミネムは受賞すると思っていなかったと語っている。
エミネムがサプライズパフォーマンスについて語る
2020年アカデミー賞でのサプライズパフォーマンスの翌日、エミネムは“variety.com”のインタビューに応じた。
-昨夜のパフォーマンスには驚きました。どのように実現されたのか?そしてなぜ今年だったのでしょうか?
「当時は出演できなかったから、(サプライズ出演は)クールかもしれないと思ったんだ。あの時は、自分が受賞するチャンスなんてあると思ってなかったし、アカデミー賞の2週間前にザ・ルーツ(the Roots)とグラミー賞で“Lose Yourself”をパフォーマンスしたばかりだったから、いいアイデアだとも思えなかった。当時の若かった俺は、アカデミーが自分のことを理解してくれるとは思えなかったんだ。でも、受賞を知った時には『クレイジーだ!』って感じだった。それは、アカデミー賞がいかに正真正銘のリアルな賞だってことを示している。俺はそれがリアルだと感じた」
–(授賞式を欠席して)残念だったか?
「残念っていうより、アカデミー賞を受賞したって事実に圧倒された。当時は、歌でアカデミー賞を受賞するということを理解していなかったと思うし、なぜ自分が受賞したのか、ちょっと戸惑ったことを覚えてる」
-2003年のアカデミー賞授賞式当日は何をしていた?
「家で娘(ヘイリー)と一緒にいたかな……(授賞式は)見ていない。その当時、ヘイリーは朝早くに学校に行かないといけなかったから(俺は)寝ていた。
俺と一緒に楽曲制作をしているキーボードプレイヤーのルイス・レストが(授賞式に)行ってくれて、トロフィーを受け取ってくれた。多分皆は『コイツ誰だ?』って思ってただろうな。それで、彼から電話がかかってきてたんだ。電話が鳴りっぱなしで『クソったれ、寝ようとしてるのに!』って思ったのを覚えてる。でも電話に出たら、『お前、勝ったぞ』って言われたんだ。『俺が?クールだな!』って感じだった」
-2003年当時、アカデミー賞側がクリーン・バージョン(検閲版)のパフォーマンスを望んだから出演しなかったという報道がありましたが?
「いいや、そんなことは全くない!だって、そんなに罵倒する言葉も使ってないし、あったとしても2~3個だろ。そんなことはないよ」
-でも、オファーはあったんでしょう?
「そうだな、ポール・ローゼンバーグ(マネージャー)がそう言ってたんだ。当時はノミネートされた曲には必ず演奏者がいたから、(ザ・ルーツ以外の)他の人に演奏させることも検討したと言っていた」
-誰かいいなと思う人はいましたか?
「それは考えてみないとわからないけど。多分、他の人にやってもらってたら変な感じになってたはずだ」
–当時メジャーデビューを果たしたばかりの50セントは?
「当時、50がやってくれるなら、それはそれで悪くなかっただろうけど…彼のスタイルの曲じゃないしね。(ルーズ・ユアセルフは)個人的な曲だし」
-昨夜の話に戻りますが、楽しめましたか?
「もちろん!サルマ・ハエック(Salma Hayek)とハグできたしな!」
-経緯としては、既に“8 Mile”は(『録音賞・音響編集賞』特集動画の)モンタージュに含まれていたそうですが、たまたまアカデミー賞から依頼がありOKしたのでしょうか?
「まぁそんなところだよ。俺もアルバム(MTBMB)をリリースしたばかりだからクールだなって。新アルバムのタイミングで理にかなってるって」
-かなり手の込んだバンドで、数人のミュージシャンとストリングセクションがありました。どのくらいリハーサルをしましたか?
「先週、飛行機でロサンゼルスに着いて、確か4~5回のリハーサルがあったと思う。リハーサルは(アカデミー賞会場の)ドルビー・シアターじゃなくて、別の場所でやって極秘を保ってた」
-秘密にすることがそんなに重要だったのでしょうか?
「分からないけど、(オスカーの)アイディアかポール・ローゼンバーグかデニス・デネヒー(Dennis Dennehy)のアイディアだったか、どっちかが俺に持ってきたんだ。俺は『発表無しはドープ(最高)だな!』って答えた」
-次の(映画)作品があるのではという声も聞かれましたが、もっと俳優業をやりたいという気持ちはありますか?
「Um…俺は“やらない”と言うつもりはない。適切な脚本と、俺のスケジュールが合っていれば、もう一度挑戦するかもしれない」
-“8 Mile”の撮影は楽しかったですか?
「楽しかったし、、、楽しくなかった(笑)たくさんやることがあったんだ。初映画だったから、あまり期待はしていなかった。それと、他人のスケジュールに合わせるってことが、俺の仕事へのスタンスでは難しかった。だけど、やってよかったと思ってる。間違いなく楽しかったけど大変だった」
-3週間前にアルバム(MTBMB)を出したばかりですが、次の予定を教えてください。
「正直言って次の予定は特にない。このアルバムと、次のミュージックビデオに取り掛かってるところだ。でも、まだ何も決まっていない」
-特に印象に残っている新人アーティストはいますか?
「Young M.A.がアルバムに参加しているけど、俺が期待している新人アーティストの一人だ。彼女が何かを発表するたびに俺は聴いている。それから、俺達のレーベル(Shady Records)と契約しているグリゼルダ(ニューヨーク州バッファローのラップトリオ)にも期待している。YBN Cordae、彼はドープだよ。」
-最後の質問です。あなたは歌詞やフリースタイルでトランプ大統領を激しく追及し、シークレットサービスからの調査を受けたりもしていました。他のメジャー・アーティストが同じようなことをしないのはなぜだと思いますか?
「ヒップホップの世界では、彼(トランプ)を攻撃している連中が確かにいる。でも、俺が言わないといけないことは言ったと思う。みんな俺の立場を知っていると思うし、、、」
(ここでインタビューは打ち切り)
アカデミー賞でのエミネムのファッション
全身をブラックコーデでまとめたアカデミー賞でのエミネムのファッションをチェック。
帽子は定番のカンゴールのアーミーキャップ
パーカーもエミネム定番のブランド「オールセインツ」
靴はAir Jordan Black Catを着用
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