スーツ姿でこちらを見つめるEminem。Danny Clinch撮影。

EMINEM / THE ELEVENTH STUDIO ALBUM

MUSIC TO BEMURDERED BY

ミュージック・トゥ・ビー・マーダード・バイ

EMINEM17 JANUARY 2020

Music To Be Murdered Byのオリジナル配信版ジャケットORIGINAL / 20 TRACKS ↗

HITCHCOCK MEETS EMINEM
1958年の声が、2020年を始める。

SCROLL TO ENTER

BEFORE THE MURDER

アルバム概要へ ↓

01 / 1958 / THE ORIGINAL RECORD

HITCHCOCK

恐怖を、娯楽に変える

1958年、Alfred Hitchcockの語りとJeff Alexanderの音楽が、不穏な題材をレコードの娯楽に変えた。映画一本のサウンドトラックではなく、後のEminem作品とは別のアルバムだ。

1958年のAlfred Hitchcock Presents Music to Be Murdered Byのジャケット
Hitchcock / Jeff Alexander — 1958

02 / THE BEAT / THE INTRODUCTION

DR. DRE

ビートから、レコードへ

Eminemは以前Dreが作ったビートを思い出して連絡し、自分でドラムなどを加えた。その後、Dreが1958年のレコードを勧め、リンクを送ったという。ビートの話と、アルバムを紹介した話は別の段階にある。

制作エピソードと出典 ↗
Godzilla撮影時のEminem、Mike Tyson、Dr. Dre。制作のつながりを示す資料写真。
Eminem / Mike Tyson / Dr. Dre — Godzilla撮影時。Photo: Jeremy Deputat

03 / THE CONCEPT / A DIFFERENT VOICE

EMINEM

一つの着想を、全編へ

1958年の作品を聴いたEminemは、アルバム全体を包むコンセプトへ発展させた。Hitchcockの声を幕間や曲へ配置する一方、使えなかった素材には権利処理の制約もあったと説明している。

制作エピソードと出典 ↗
黒いコートを着て座るEminemのポートレート。Danny Clinch撮影。
Eminem / Photo: Danny Clinch

04 / 2020.01.17 / WITHOUT WARNING

THE MURDER
BEGINS

予告なく、幕が上がる

2020年1月17日、11作目のスタジオアルバムがサプライズリリースされた。Hitchcockの案内する世界に、技巧、怒り、親密さ、そして社会への視線が交差する。

2020年1月17日発売、EminemのMusic To Be Murdered Byジャケット
Music To Be Murdered By / Original edition — 20 tracks

OPENING NOTES

THE RECORD『Music To Be Murdered By』とは

Eminem Music To Be Murdered By、オリジナル20曲の配信ジャケット
ORIGINAL EDITION / 17 JANUARY 2020

『Music To Be Murdered By』(MTBMB)は、Eminemが2020年1月17日に予告なく発表した、11作目のスタジオアルバム。全20曲、約64分。前作は2018年の『Kamikaze』だ。

題名は「殺されるための音楽」と直訳できる。穏やかな鑑賞用レコードのような名前に、物騒な言葉を差し込むブラックユーモア。その出発点は、映画監督Alfred Hitchcockと作曲家Jeff Alexanderによる1958年のレコードにある。

本作を聴く鍵は、すべてを一つの殺人物語として読むことではない。技巧、怒り、恋愛、依存、そして「Darkness」の社会的な視線を、Hitchcockの声が一つの上演として包んでいる。

同年12月の『Side B (Deluxe Edition)』は追加16トラックを含む拡張版。別の12作目ではなく、このアルバムのもう一つの幕だ。

RELEASED / 世界配信
STUDIO ALBUM NO. / 作品
11作目
TRACKS / 曲数
20曲
RUNTIME / 時間
約64分
LABEL / レーベル
Shady Records
Aftermath Entertainment
Interscope Records
EXECUTIVE PRODUCERS / 制作統括
Dr. Dre
Slim Shady(Eminem)
JAPAN CD / 日本盤

UICS-1360
SIDE B / 拡張版

Deluxe Edition / 全36曲

THE SEQUENCE

KAMIKAZEMUSIC TO BE
MURDERED BY

2018年の反撃から、2020年の二幕へ。
発売と制作を、同じ時間軸に置く。

前作『Kamikaze』の背景を読む ↗
  1. KAMIKAZE

    『Revival』の受け止められ方への応答を、短く鋭い作品として投下。事前告知を置かない発表方法が、次作にも引き継がれる。

    KamikazeのLPへ ↗
  2. THE SESSIONS

    Dre周辺の演奏家・プロデューサーがビートを制作。取材では2019年夏のセッションが語られる一方、一部ビートの着想はそれ以前に遡る。全曲を「2019年録音」とひとまとめにはできない。

  3. THE FIRST ACT

    第11作『Music To Be Murdered By』をサプライズ配信。「Darkness」の映像も同時期に公開し、作品の社会的な一面を提示した。

  4. CD / GODZILLA

    3月4日に日本盤CD。3月9日(米国日付)にはCole Bennett監督の「Godzilla」MVが公開される。配信、国内盤、映像という異なる入口がそろう。

  5. THE SECOND ACT

    『Side B (Deluxe Edition)』で16トラックを追加。「Gnat」などを含め、2020年の作品世界を36曲へ広げた。

WITHOUT A TRAILER

なぜ再びサプライズリリースだったのか

共通する発表形式事前告知なし完成した作品を先に届ける
2018 / KAMIKAZE

前作の評価への応答

反撃を、短く鋭い作品に。

2020 / MTBMB

Hitchcockの枠へ広がる

反論に加え、私的な声と社会への視線。

PRESS PLAY FIRST.

告知から期待を育てる代わりに、完成した作品を先に渡す。

『Kamikaze』とMTBMBに共通するのは、リリースの瞬間までアルバムを伏せたこと。Eminem公式もMTBMBをサプライズの新作として案内している。

『Revival』の批評への反応は、「Premonition」にも残っている。しかし、それだけを発売方式の理由と断定することはできない。公開日を隠した事実と、本人の心理を説明する推測は別だ。

作品から読み取れること

予告編なしで映画が始まるように、タイトル、カバー、Hitchcockの声を一度に受け取らせる。その体験は本作の演出とよく合う。これは発表形式の効果についての読みであり、本人が述べた制作意図ではない。

THE ORIGINAL HOST

HITCHCOCK×EMINEM

1958 / HITCHCOCK + ALEXANDER斧と拳銃を持つアルフレッド・ヒッチコックを配した1958年作品のジャケット
Alfred Hitchcock Presents
Music to Be Murdered By
Hitchcockの語りとJeff Alexanderの音楽。1958年作品の配信ジャケット。
2020 / ALTERNATE COVER斧と拳銃を両側に構えるエミネムの、ヒッチコックへのオマージュ画像
同じ構図が、ラップの世界へ。斧と拳銃、正面を向く人物、死を身近に置く冗談。2020年の別ジャケットに、1958年のポーズが受け継がれる。

恐怖を娯楽に変える、二人の案内人。

1958
SAME TITLE
62 YEARS LATER
2020
HITCHCOCK / 1958EMINEM / 2020
TITLE同じ題名

1958年の言葉の仕掛けを継承

POSE構図の応答

別カバーの斧と拳銃

VOICE本人の録音

幕間・Little Engine・終幕

BLACK HUMOR冷静さと不穏さ

語り手との距離を読む

作品からの解釈
FRAMING上演を包む声

曲ごとの違いを一つの枠へ

作品からの解釈

『Alfred Hitchcock Presents Music to Be Murdered By』とは

1958年の作品は、映画の一本分のサウンドトラックではない。Hitchcockが案内役を務め、Jeff Alexanderの編曲・音楽を通して、物騒な題材を家庭で聴くレコードの娯楽へ持ち込んだ作品だ。

大げさに恐怖を叫ぶのではなく、礼儀正しく、落ち着いた声で不吉なことを言う。恐ろしさと可笑しさが同居する仕掛けは、後年のEminemにも通じる。

なぜEminemはHitchcockを選んだのか

確認できる事実:2020年のタイトルとアートが1958年作に着想を得たこと、Hitchcockの録音音声が使われていることは、Eminem側とHitchcock側の公式情報で確認できる。単なる「似ているジャケット」という偶然ではない。

作品から読み取れること

Slim Shadyは、語り手の人格を演じることで、悪趣味な冗談を現実の本人からずらしてきた。Hitchcockの落ち着いた司会も、聴き手へ「これから上演が始まる」と知らせる。両者の親和性は、残酷さの量よりも、見せ方と語り手の距離にあると考えられる。

I / TITLE

タイトルに受け継がれたもの

“Music to be … by”という鑑賞用音楽らしい型に、“Murdered”を入れる。優雅さと不穏さが同居する言葉の仕掛けを、Eminemはそのまま作品の入口にした。

II / PERFORMANCE

「殺す」をどう演じるか

ラップで相手を圧倒する誇示、架空の暴力、現実への批判は同じではない。本作はその境界を行き来する。タイトルが挑発的だからこそ、各曲の視点を見分ける必要がある。

III / BLACK HUMOR

笑わせる声と、不安にさせる声

Hitchcockの冷静な口調と、Eminemの過密な言葉は対照的だ。静かな司会が次の騒ぎを予告することで、アルバムの強弱が生まれる。

アルバム内に登場するAlfred Hitchcock

04 — ALFRED (INTERLUDE)

本人の語りが聞こえる最初の独立した幕間。時代の異なる声が作品に直接入り込む。

15 — LITTLE ENGINE

曲の冒頭にもHitchcockの声。アルバムの枠組みが、スキット以外の楽曲へ食い込む。

20 — ALFRED (OUTRO)

最後も案内人の声へ戻る。MCの競演を経て、1958年と2020年を結んだ幕が閉じる。

SLEEVE NOTES

THE ARTWORKジャケットに仕込まれたもの

「MTBMBのジャケット」は一枚ではない。

配信の標準画像、斧と拳銃を持つ別ジャケット、日本盤CDの商品画像を分けて見ると、混同を避けられる。UMJもデジタルとフィジカルでジャケットが異なると案内している。

帽子姿のエミネムと赤い面を配した配信版カバー拡大・注釈
01 / STANDARD · DIGITAL帽子姿と、強い赤の対比公式アルバムページの標準画像。黒いスーツ、帽子、手にした道具が、作品の不穏さを先に伝える。
斧と拳銃を持つエミネムのヒッチコック・オマージュ図版拡大・注釈
02 / ALTERNATE COVER1958年に応答する構図頭部の両側に斧と拳銃を置くポーズを継承。Hitchcockへのオマージュを最も直接的に示すアートワーク。
赤い面とスーツ姿のエミネムを組み合わせた日本盤CDのジャケット拡大・注釈
03 / JAPAN · PHYSICAL CD赤を主役にした装丁日本盤UICS-1360のUMJ商品画像。配信版と同じ20曲だが、外観は異なる。購入時はカバーだけでなく品番も確認したい。
斧と拳銃を用いてHitchcockの構図に応答するEminem。Danny Clinch撮影。

THE ART OF BLACK HUMOR

A FAMILIAR
POSE. A NEW
VOICE
Danny Clinch / Levine/Leavitt

FOUR THREADS

FOUR THREADSMusic To Be Murdered Byを構成するテーマ

恐怖とユーモア、技巧と帰属、親密さ、社会への視線。四つの大きな流れが、一曲ごとに異なる表情で現れる。

02

TECHNIQUE& HIP-HOP

技巧と、ヒップホップへの帰属

速さ、韻の密度、声の切り替え、客演との受け渡し。評価への反論と先人への敬意も、ラップの文化に身を置く誇りにつながっている。

03

LOVE& DEPENDENCE

愛情と依存、ほどけない関係

親密さへの渇きと、そこから抜け出せない感覚。Never Love Againでは、恋愛として聴いた言葉が、終盤に依存との関係として響き直す。

04

REALITY& VIOLENCE

現実社会と、銃暴力

Darknessは孤立した語り手の視点から現実の銃暴力へ向かう。ほかの曲の架空の殺意と、社会に問いを投げるこの曲の目的は区別して聴きたい。

MELODY MEETS VELOCITY / TRACK 07

GODZILLA

GodzillaのMVで口から炎を吹くEminem
EMINEM / GODZILLA OFFICIAL VIDEO
2019年のInField Festで歌うJuice WRLD。Andy Jones撮影。
JUICE WRLD / ANDY JONES, 2019
EMINEM × JUICE WRLDMELODY → VELOCITY

旋律がつくる入口。言葉が加速する、その先へ。

公式MVを見る ↗
FEATURED VOICEJUICE WRLD旋律のフックが、技巧の入口に。
OFFICIAL VIDEOCOLE BENNETT2020年3月9日、映像へ。
JOIN THE CHALLENGE#GODZILLACHALLENGE高速パートを、リスナーも追いかける。

Juice WRLDの歌がつくる、覚えやすい入口。そこからEminemの言葉は、制御不能なほど加速していく。

Juice WRLDは2019年12月に亡くなり、「Godzilla」はその死後の初期に世に出た客演曲の一つとなった。新世代のメロディー感覚と、Eminemの圧倒的な発語が同居することに、この共演の意味がある。

Cole Bennett監督のMVにはMike Tyson、Dr. Dreも登場し、最後にはJuice WRLDへの追悼が置かれる。怪物のような誇張と故人への敬意が、別々の温度で残る映像だ。

Godzillaの歌詞和訳とワードプレイ解説では、速度だけでは拾いきれない多重の意味をたどれる。制作の入口はGodzillaのプロデューサーが語る制作背景へ。

公式MVを見る ↗

GUINNESS / DEFINITION MATTERS

7.5WORDS / SEC

「No.1シングルにおける最速ラップ」

Guinnessが掲載する条件は、曲の2:57〜3:27の30秒間に225語。この部門の記録を、あらゆる曲・あらゆる測定方法での「世界最速」と言い換えない。

GUINNESS
225 words / 30 sec
GENIUS分析をUMJが紹介
330 syllables / 31 sec

後者は約10.65音節/秒。語と音節の単位も、区間も異なるため、7.5と10.65を同じ記録の別表記として扱うことはできない。

数える単位と測定区間が異なるため、同じ記録として比較できません。

作品から読み取れること

Godzilla Challengeは高速パートを再現する参加型の企画として展開された。だが、この曲を速度だけで終わらせるのは惜しい。Juice WRLDのフックがあるからこそ、終盤の密度がいっそう際立つ。

Juice WRLD / InField Fest, 18 May 2019
Photo: Andy Jones · Wikimedia Commons · CC BY-SA 2.0掲載版を縮小・WebP変換。写真全体を表示し、演出内ではCSSでモノクロ表示。

Eminemの炎のビジュアル:「Godzilla」公式MVより。二人の写真は別の時期・別の場面で撮影された資料で、同じステージの共演写真ではありません。

A STORY IN TWO PERSPECTIVES

DARKNESS二つの視点が重なる物語

最初に見えていた「ステージ前の孤独」が、別の場面へとつながる。仕掛けの精密さだけでなく、視点が変わった後に何が残るかが、この曲の中心だ。

青い光の中、椅子に座り顔を伏せるEminem。「Darkness」公式MVのサムネイル。
Eminem公式 / Darkness
01

演者の不安として聞こえる

部屋、酒、緊張、観客。Eminem自身が開演前に抱える不安のようにも聞こえる言葉が積み重なる。聴き手は、まず彼の内面を想像する。

02

現実の事件へ視点が反転する

語りと映像は、2017年10月1日のラスベガス銃乱射事件をもとにした場面へ接続する。同じ言葉が別の意味を帯び、最初の理解を聴き直すことになる。

二重構造は、共感の着地点を変える

前半の語りはEminemの実録ではなく、聴き手の連想を利用する演出だ。後半の事件描写も犯人の実際の心理を証明するものではない。孤独な「私」を追った聴き手は、最後にその視点から離れ、事件が残した現実に向き合う。

映像の終盤は、銃暴力を伝えるニュースや、投票・銃規制をめぐる呼びかけへ移る。これは加害者を称える終わり方ではなく、事件の反復を社会の問題として問い直す構成だ。

「殺されるための音楽」の中で

架空の暴力を使うアルバムが、実際の銃暴力を批判する。その緊張は解消されない。むしろ「Darkness」があることで、タイトルの挑発を無条件に楽しむ聴き方も揺さぶられる。

制作面ではRoyce da 5'9"とEminem、追加制作のLuis Restoが関わる。Royceが語ったDarknessのビート制作では、ビートがどのようにEminemへ渡ったのかをたどれる。

公式MVを見る ↗

前半と後半で変わる言葉の意味が、最後には銃暴力をめぐる社会への問いにつながる。

黒い服で座り、両手を組むEminem。Universal Musicの2020年プレス写真。

THE VOICE / EMINEM

BEHIND
THE VOICE
Danny Clinch / Universal Music「Pressebilder 2020」

ORIGINAL EDITION

THE 20
TRACKS
オリジナル版・全20曲解説

オリジナル版・全20曲を、公式の順序で。

  1. 01

    Premonition (Intro)

    批評家と聴き手の相反する要求へ応答する導入。Kamikazeで始まった評価をめぐる攻防を、新しい作品の入口へ持ち込む。

    Producer: Eminem / Dr. Dre / Mark Batson
    追加制作: Dawaun Parker / Luis Resto

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  2. 02

    Unaccommodating

    feat. Young M.A

    Young M.Aの客演からEminemへ受け渡す攻撃的なラップ。挑発表現の是非も問われた曲。

    Producer: Tim Suby
    追加制作: Eminem

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  3. 03

    You Gon' Learn

    feat. Royce da 5'9" / White Gold

    Royceがラップとビートを担う。White Goldの歌を挟み、二人の技術と生存の物語が交差する。

    Producer: Royce da 5'9"
    共同制作: Eminem
    追加制作: Luis Resto

    You Gon’ Learnの制作を振り返るRoyce ↗▶ YouTubeで聴く ↗
  4. 04

    Alfred (Interlude)

    ヒッチコックの声がアルバムへ再登場する短い幕間。語りそのものが作品の案内役になる。

    Producer: Dr. Dre / Dawaun Parker / Andre “Briss” Brissett

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  5. 05

    Those Kinda Nights

    feat. Ed Sheeran

    Ed Sheeranのフックを軸に、夜の遊びと会話をコミカルに描く。重い題材の間に置かれたパーティー曲。

    Producer: d.a. got that dope
    共同制作: Eminem
    追加制作: FRED

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  6. 06

    In Too Deep

    抜け出せない関係を歌う。バトルの誇示から、親密さと後ろめたさへ視点を移す。

    Producer: Tim Suby
    共同制作: Eminem

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  7. 07

    Godzilla

    feat. Juice WRLD

    Juice WRLDのメロディーと、終盤へ向かって加速するEminemのラップが対照をなす。

    Producer: d.a. got that dope
    追加制作: Eminem

    Godzillaの歌詞和訳とワードプレイ解説 ↗▶ YouTubeで聴く ↗
  8. 08

    Darkness

    孤独な演者を思わせる描写が、ラスベガス銃乱射事件を題材にした物語へ重なっていく。

    Producer: Royce da 5'9" / Eminem
    追加制作: Luis Resto

    Royceが語ったDarknessのビート制作 ↗▶ YouTubeで聴く ↗
  9. 09

    Leaving Heaven

    feat. Skylar Grey

    Skylar Greyの歌と制作が、父への複雑な感情を扱うEminemの語りを支える。

    Producer: Skylar Grey
    共同制作: Eminem

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  10. 10

    Yah Yah

    feat. Royce da 5'9" / Black Thought / Q-Tip / Denaun

    複数の世代とスタイルが集まるラップの競演。アルバムのヒップホップへの敬意を最も直接的に聴ける。

    Producer: Mr. Porter

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  11. 11

    Stepdad (Intro)

    次の曲の家庭内の対立を導入する短い寸劇。曲本体とは別トラック。

    Producer: Dr. Dre

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  12. 12

    Stepdad

    継父への怒りを復讐のフィクションに変換する。個人的な語りと誇張された物語を区別して聴きたい。

    Producer: The Alchemist / Eminem
    追加制作: Luis Resto

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  13. 13

    Marsh

    別名を足場に、荒唐無稽な比喩と言葉遊びを連ねる。Slim Shady的な笑いが前面に出る。

    Producer: Eminem
    追加制作: Luis Resto

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  14. 14

    Never Love Again

    恋愛の別れにも依存との決別にも読める二重性が鍵。言葉の意味を聴き返しによって反転させる。

    Producer: Dr. Dre / Dem Jointz / Trevor Lawrence Jr. / Dawaun Parker
    追加制作: Eminem

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  15. 15

    Little Engine

    ヒッチコックの語りと異様なユーモアが近づく曲。緻密な制作と落ち着きのない言葉の運動を楽しめる。

    Producer: Dr. Dre / Erik “Blu2th” Griggs / Trevor Lawrence Jr. / Dawaun Parker

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  16. 16

    Lock It Up

    feat. Anderson .Paak

    Anderson .Paakの歌とDreチームの弾むグルーヴが軸。威圧感だけでなく、リズムの余裕が聴きどころ。

    Producer: Dr. Dre / Dawaun Parker / Erik “Blu2th” Griggs / Trevor Lawrence Jr. / Dem Jointz

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  17. 17

    Farewell

    別れをめぐる感情の揺れを扱う。軽さのあるリズムと険しい関係の語りがすれ違う。

    Producer: Ricky Racks
    追加制作: Eminem

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  18. 18

    No Regrets

    feat. Don Toliver

    Don Toliverのメロディーを迎え、過去の言動やキャリアを振り返る。批評への反発だけでは終わらない曲。

    Producer: d.a. got that dope
    追加制作: Eminem

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  19. 19

    I Will

    feat. KXNG Crooked / Royce da 5'9" / Joell Ortiz

    Slaughterhouseの三人を迎えた終盤のマイクリレー。複数のMCがラップの技術を持ち寄る。

    Producer: Eminem
    追加制作: Luis Resto

    ▶ YouTubeで聴く ↗
  20. 20

    Alfred (Outro)

    ヒッチコックの声が最後の挨拶を担う。冒頭から続くブラックユーモアの枠を閉じる。

    Producer: Dr. Dre / Dawaun Parker / Andre “Briss” Brissett

    ▶ YouTubeで聴く ↗

LYRIC NOTES / ORIGINAL 20 TRACKS

NAME-DROPS歌詞に登場する人物と、その意味

名前が出てきても、すべてがディスとは限らない。誰を呼び、どんな役割を与えているのか。本編20曲から、対立、敬意、比喩、振り返りを読み分ける。

01

DISSディス・対立への言及

Machine Gun Kelly
Machine Gun Kelly。Andy Menarchek撮影資料。
Machine Gun Kelly
直接の名指し・対立の振り返り

終わったはずのMGKとの対立を、誇示と比喩で振り返る。

解説を読む

ラッパーMGKとの対立を再び持ち出す。Unaccommodatingでは争いは終わったと言いながら優位を誇示し、Yah Yahでは別の比喩で挑発する。登場しただけで新たな対立の開始とは扱わない。

写真の出典・ライセンス ↗
Lord Jamar
Lord Jamar。QuietRoomのCC動画由来の静止画。
Lord Jamar
直接の名指し・批判への返答

ラップの力量と、ヒップホップへの所属をめぐる批判へ返答する。

解説を読む

Brand Nubianのメンバー。ラップの力量と、ヒップホップへの所属をめぐる彼の批判に応答する。同じ一節に出るG RapやRakimは、攻撃の対象ではなく敬意を向ける先人だ。

写真はQuietRoomのCC BY 3.0動画に由来する静止画です。表示サイズに合わせて縮小しており、顔の生成・加工はしていません。

写真の出典・ライセンス ↗
02

RESPECTリスペクト・受け継いだ系譜

Rakim / Kool G Rap
Rakim。Flowizm撮影資料。
Rakim
Kool G Rap。Kanamedia from Tokyo, Japan撮影資料。
Kool G Rap
先人の実名・技巧への敬意

技巧の先人たちへ向けた敬意。ディスの対象とは役割が異なる。

解説を読む

ニューヨークの技巧派MCたち。Yah Yahでは影響源の系譜に並べ、I Willでは文化の「家」の主にふさわしい先人として持ち出す。Lord Jamarへの批判とは役割が逆になる。

写真の出典・ライセンス ↗
LL Cool J
LL Cool J。Marc Flores撮影資料。
LL Cool J
先人の呼称・影響源への敬意

「LL」という呼称で、若い頃からの影響源の連なりに置かれる。

解説を読む

1980年代から活躍するMC。ここではLLという呼称で、若い頃から聴いてきたラッパーの連なりに置かれる。客演者として登場しているという意味ではない。

写真の出典・ライセンス ↗
Run-DMC
Run / DMC。Ian Dryden, Los Angeles Times撮影資料。
Run / DMC
グループ名・文化の先達

文化の先達として登場。「家」の比喩にもつながるグループ。

解説を読む

1980年代を代表するヒップホップ・グループ。Yah Yahの系譜と、I Willの「家」の比喩の両方に登場する。後者ではJamarの排他的な主張へ対抗する基準となる。

写真は1984年のRunとDMC。Jam Master Jayを含む全員の集合写真ではありません。

写真の出典・ライセンス ↗
N.W.A / Eazy-E / Dr. Dre
N.W.AGROUP
Eazy-E。Edward Paul Reyes撮影資料。
Eazy-E
Dr. Dre。Ed Kavishe撮影資料。
Dr. Dre
グループと人物名・導き手への敬意

西海岸の系譜と、Dreという導き手へ向ける敬意。

解説を読む

西海岸のグループN.W.A、その中心人物Eazy-EとDr. Dre。連ねられた名前は文化的なルーツを示し、Dreは進路を示した存在としても描かれる。単なる有名人の列挙ではない。

N.W.Aは文字で示し、写真は個人としてのEazy-EとDr. Dreを並べています。グループ全員の集合写真を表すものではありません。

写真の出典・ライセンス ↗
03

POP CULTUREパロディ・比喩・ポップカルチャー

Godzilla
GOD
ZILLA
FICTIONAL / METAPHOR
架空の固有名・怪獣の比喩

怪獣のイメージで、暴走する語り手と過密なラップを誇張する。

解説を読む

日本の怪獣ゴジラ。曲名とフックが呼び出す巨大な存在は、暴走する語り手と過密なラップを誇張するイメージとして機能する。実在人物へのディスとは種類が異なる。

04

CONTEXT過去の対立を、どう振り返るか

Tyler, the Creator / Earl Sweatshirt
Tyler, the Creator。Incase from California, USA撮影資料。
Tyler, the Creator
Earl Sweatshirt。Eli Watson撮影資料。
Earl Sweatshirt
直接の名指し・自身の怒りの振り返り

過去に二人へ向けた怒りを振り返る。新たなディスとは区別する。

解説を読む

ともにOdd Futureを背景に持つラッパー。自分の怒りを二人に向けたことを振り返り、反応すべきではなかったと語る文脈だ。二人への新たなディスとして一括りにしない。

写真の出典・ライセンス ↗
解釈と出典についてEDITORIAL NOTES & REFERENCES

曲中の名指し・呼称と、編集上の文脈整理を分けている。Godzillaは人物名ではなく、曲名にもなる架空の固有名として掲載。名前や比喩の使用だけで、現実の親交・関与・本人の心理が証明されるわけではない。

No Regretsの「kill shot」や「nicked」をMGKやNick Cannonへの間接言及と読む記事もあるが、その箇所で実名が出るわけではない。本欄では直接の名指しとして数えていない。

曲中の登場箇所は上の曲名から公式音源へ。照合資料:XXLのネームドロップ一覧 ↗ / eminem.newsの対立関連記事 ↗。後者の「disses」という分類もそのまま採用せず、No Regretsの回顧を分けて整理した。

THE PEOPLE BEHIND THE RECORD

THE VOICES
BEHIND IT
参加アーティスト・制作陣

01 / MAIN ARTIST & EXECUTIVE PRODUCERS

EMINEM

メインアーティスト
制作統括(Slim Shady)
Executive Producer

DR. DRE

制作統括/楽曲制作
Executive Producer & Producer

02 / FEATURED VOICES

JUICE WRLD
Godzilla / フックの客演
ROYCE DA 5’9”
You Gon’ Learn、Yah Yah、I Will / 客演。You Gon’ Learn、Darknessの制作にも参加
BLACK THOUGHT
Yah Yah / 客演
Q-TIP
Yah Yah / 客演
ANDERSON .PAAK
Lock It Up / 客演
DON TOLIVER
No Regrets / 客演
Godzillaの撮影現場で並ぶエミネム、マイク・タイソン、ドクター・ドレー
「Godzilla」撮影時の写真。Photo: Jeremy Deputat / Eminem公式。

DRE & THE PRODUCTION NETWORK

統括と、実際の楽曲制作

Dr. DreはEminem(Slim Shady)とともに制作を統括し、「Premonition」「Little Engine」「Lock It Up」などの制作にも参加。Dawaun Parker、Trevor Lawrence Jr.、Dem Jointz、Erik Griggsらとの協働が音の厚みを支える。

Royce da 5'9"らは客演と制作を横断する。担当曲・追加制作・演奏の区別と、取材に基づく制作背景は、下の全文クレジットへ。

参加アーティスト・制作陣をすべて見る03 / FULL CREDITS & PRODUCTION NOTES
EXECUTIVE PRODUCERDR. DRE統括名義と、実際の制作参加

Dr. Dreは、制作の中にいる

Executive ProducersはDr. DreとSlim Shady(Eminem)。Dreは統括名義だけでなく、「Premonition」「Little Engine」「Lock It Up」などで実際の制作にも参加している。

制作陣への取材では、Dawaun Parker、Trevor Lawrence Jr.、Dem Jointz、Erik Griggsらが演奏を重ね、ビートを組み立てた様子が語られる。Eminemの録音と同じ部屋・同じ時間で全工程が進んだとは限らない。

この協働は『Relapse』期の制作にも連なる関係だ。ただし「DreがRelapse以来初めて戻った」という意味ではない。MTBMBでは、その周囲の音楽家を含む制作網が、後半の音の厚みを支えている。

一人の技巧を、多くの声で照らす

Royce da 5'9"は客演と制作を横断。d.a. got that dopeは「Godzilla」や「Those Kinda Nights」、Skylar Greyは「Leaving Heaven」、Mr. Porterは「Yah Yah」、The Alchemistは「Stepdad」に関わる。

一枚を一人のプロデューサーで統一するのではなく、曲ごとに違う質感を配置する。Hitchcockの声は、その多様な音をつなぐ数少ない共通の仕掛けでもある。

GUESTS / RAPラップの競演
Young M.ARoyce da 5'9"Black ThoughtQ-TipDenaunKXNG CrookedJoell Ortiz
GUESTS / MELODYメロディーと声の表情
White GoldEd SheeranJuice WRLDSkylar GreyAnderson .PaakDon Toliver
PRODUCERS主要ビートメイカー
Dr. DreEminemRoyce da 5'9"d.a. got that dopeMr. PorterSkylar GreyThe AlchemistTim SubyRicky Racks
MUSICIANS & CO-PRODUCTION音を組み立てる制作陣
Dawaun ParkerTrevor Lawrence Jr.Dem JointzErik “Blu2th” GriggsMark BatsonLuis Resto ほか。担当曲と役割は上の曲表を参照。

RECEPTION & REACH

THE NUMBERS評価と商業成績

商業的な強さと、批評の一致は同じではない。数字が示す到達点と、聴き手に残る違和感を分けて読む。

NO.1米Billboard 200
2020年2月1日付・初登場
279,000米初週アルバム相当ユニット
うち実売117,000枚
64 / 100Metacritic・批評17件
2026年10月17日確認
UNITED STATES1Billboard 200
UNITED KINGDOM1Official Albums Chart
AUSTRALIA1ARIA Albums Chart

全米では、当時10作連続の首位デビューを達成した。「10枚のスタジオアルバムが連続して1位」という意味ではなく、集計にはベスト盤も含まれる。初週279,000はストリーミング等を換算した単位で、CDの販売枚数ではない。

英国でもアルバムが1位となり、「Godzilla」と同週にアルバム/シングルの首位を獲得。初週は約36,000チャートセールス。オーストラリアでもARIAアルバム・チャートの1位に入った。

THE STRENGTHS

評価された点

  • 密度の高いラップと、自在な声のコントロール。
  • Dre周辺の制作陣から現代的なビートまで、音の幅が広がったこと。
  • 「Darkness」の視点の反転と、社会へ向く眼差し。
  • 多彩なゲストを通じて聞こえる、ヒップホップへの敬意。
THE RESERVATIONS

批判された点

  • 過去の批評への反応が、なお曲の中心に残ること。
  • 意図的な挑発や、現実の惨事に触れる言葉の扱い。
  • 恋愛曲のフックや、反復する関係の描き方。
  • Hitchcockという枠に対し、個々の主題のまとまりが弱いという見方。

これは複数のレビューを横断した整理であり、すべての媒体が同じ評価をしたわけではない。Pitchforkはラップ史への目配りを拾いながら自己弁護の限界を論じ、NMEは社会的な視線と挑発性の両面を扱った。Metacriticの64点も「全員の合意」ではなく、異なる批評を集計した値だ。

THE SECOND ACT — 18 DECEMBER 2020

SIDE Bもう一つの幕 / Deluxe Edition

窓から光が差す室内でのEminem。「Gnat」公式撮影ギャラリーより。

DECEMBER 2020 / THE SECOND ACT

THE STORY
CONTINUES
Eminem公式 / Gnat 撮影写真

2020年12月18日、もう一度幕が開く。

『Music To Be Murdered By – Side B (Deluxe Edition)』は、1月のオリジナル20曲に16トラックを追加した全36曲の拡張版。イントロやスキットも追加曲数に含まれる。独立した12作目のスタジオアルバムではない。

20ORIGINAL
16ADDED
36DELUXE

Deluxe Editionでは追加16曲が先に配置され、その後にオリジナル20曲が続く。

帽子姿のエミネムとSide Bの文字を配したDeluxe Editionのジャケット
Side B (Deluxe Edition)の公式ジャケット。Shady Records。

2020 / JAPAN

JAPAN RELEASE日本盤CDの発売と国内での反響

日本盤CD UICS-1360のジャケット。配信版とは異なるデザイン。

ミュージック・トゥ・ビー・マーダード・バイ

日本盤CD発売日
2020年3月4日
品番
UICS-1360
仕様
CD / 全20曲
発売元
Universal Music Japan

オリジナルの世界配信日は2020年1月17日。日本盤CDは約1か月半後の発売で、タワーレコードでも国内盤として取り扱われた。

日本盤は、配信で見慣れた帽子姿とは異なるジャケットを採用。上記の品番で確認したい。Side Bの追加16曲を含む全36曲版とは仕様が異なるため、購入時はオリジナル/Deluxe、国内盤/輸入盤、CD/レコードを見分けたい。

Universal Music Japanの製品情報 ↗

日本でのチャート

ORICON WEEKLY週間アルバム
38位
COMBINED ALBUMS週間合算アルバム
49位

いずれも最高順位。集計方法の異なるチャートであり、販売枚数を示す数字ではない。

黒い服で腰を下ろすEminem。Side Bのプロモーションに使用されたDanny Clinchの写真。

2020 / END CREDITS

EMINEM
SLIM SHADY
ONE RECORD
Danny Clinch / Levine/Leavitt

AFTER THE FINAL FRAME

AFTER THE
LAST WORD
反撃の先に残った声

01HITCHCOCK

語り手が作る、作品の枠

02TECHNIQUE

速さと余白、声の技術

03SOCIAL THEME

Darknessが社会へ向く

04TWO ACTS

Side Bまで続く2020年

『Kamikaze』で外へ向いた攻撃性は、この作品で消えたわけではない。だが、反論だけでは収まりきらない曲が、Hitchcockの演出の中に入り込んだ。

Eminemの私的な声、Slim Shadyの誇張、技術そのものの快感、ブラックユーモア、銃暴力への問題提起。これらが矛盾なく統合されたアルバムと評価するのは難しい。その不揃いさが、弱点にも、何度も聴き直す理由にもなる。

1958年のレコードから借りたのは、題名だけではない。語り手が聴き手を招き入れ、ときに油断させ、意味を反転させる方法だった、と読むことができる。「Godzilla」の技術と「Darkness」の物語が同居することに、MTBMBの作品史上の位置がある。

Side Bまで聴くと、その枠は2020年の現実や過去の作風へさらに広がる。前作への応答から、複数のEminemを一つの舞台に乗せる作品へ。それが、このアルバムを『Kamikaze』の単なる続編にしない理由だ。

LISTEN & OWN

LISTEN & OWN購入・ストリーミング

まず1月版の20曲を通して聴き、その後にSide Bへ。購入時は収録曲数と版を確認してください。

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QUESTIONS, ANSWERED

QUESTIONSよくある質問

Q01Music To Be Murdered Byは何作目?

Eminemの11作目のスタジオアルバムです。前作は2018年のKamikazeです。

Q02発売日はいつ?

オリジナルの世界配信日は2020年1月17日です。日本盤CDは2020年3月4日、Side B (Deluxe Edition)は2020年12月18日に発売されました。

Q03オリジナル版は全何曲?

イントロや幕間を含め全20曲、収録時間は約64分です。Side Bの追加16曲はこの20曲に含めません。

Q04タイトルの意味は?

直訳すれば「殺されるための音楽」。鑑賞用音楽らしい言い方に物騒な言葉を組み合わせたブラックユーモアで、1958年のHitchcockのレコードから受け継がれています。

Q05なぜAlfred Hitchcockなの? 元ネタは?

元になったのは、HitchcockとJeff Alexanderによる1958年のAlfred Hitchcock Presents Music to Be Murdered By。タイトルとアートの着想源であり、本人の録音音声もアルバムで使われています。

制作の入口には、Dreが以前作ったビートをEminemが思い出したこともありました。Eminem自身がドラムなどを加え、Dreに勧められた1958年のレコードを聴いたことで、アルバム全体の着想へつながったとインタビューで説明しています。制作エピソードと出典を読む ↗

Q06Godzillaには誰が参加している?

Juice WRLDが客演しています。主制作はd.a. got that dope、追加制作はEminemです。

Q07Darknessは何を描いた曲?

ステージ前の演者の孤独を思わせる描写と、2017年のラスベガス銃乱射事件をもとにした語りを重ねる曲です。公式MVは銃暴力を社会の問題として問い直すメッセージへつながります。

Q08Side Bとは? 別のアルバム?

11作目MTBMBのDeluxe Editionです。新たな16トラックとオリジナル20曲で全36曲。独立した12作目ではありません。配信版では追加16曲が先に再生されます。

Q09日本盤UICS-1360にSide Bは入っている?

UICS-1360は2020年3月4日発売の日本盤CDで、オリジナル20曲を収録します。12月のSide B追加16曲は含みません。

Q10次のスタジオアルバムは?

2024年7月12日発売の12作目The Death of Slim Shady (Coup De Grâce)です。2022年のCurtain Call 2はベスト盤なので、次のスタジオ作とは区別します。

THE RECORD OF SOURCES

THE CREDITS参考資料・画像クレジット

作品の背景をさらにたどりたい方へ。公式の作品情報、制作陣への取材、発売当時のレビューを紹介する。

主な参考資料REFERENCES / OFFICIAL & EDITORIAL

PRIMARY / OFFICIAL

  1. Eminem公式:Music To Be Murdered By ↗2020年1月17日/オリジナル20曲の順序
  2. Eminem公式:発売時の告知 ↗第11作、サプライズ公開、Darkness
  3. Universal Music Japan:UICS-1360 ↗2020年3月4日/日本盤CD・曲順・商品画像
  4. Universal Music Japan:2020年1月17日ニュース ↗Hitchcock/Jeff Alexanderとの接続
  5. Alfred Hitchcock公式:Eminemのアルバム ↗オマージュとHitchcock本人の音声使用
  6. Apple Music:1958年のHitchcock作品 ↗作品情報・現行配信ジャケット
  7. Universal Music Japan:国内盤発売発表 ↗配信とフィジカルのカバー差・国内盤案内
  8. Universal Music Italia:制作クレジット ↗Producer/Co-Producer/Additional Producer
  9. Apple Music:オリジナル盤 ↗約64分・配信権利表記・曲順
  10. Eminem公式:Darkness ↗銃暴力に向けた公式映像のメッセージ
  11. Eminem公式:Godzillaミュージックビデオ ↗映像公開、Jeremy Deputat撮影写真
  12. Universal Music Japan:Godzilla Challenge ↗チャレンジとGeniusによる音節速度の別測定
  13. Guinness World Records:Fastest rap in a No.1 single ↗30秒・225語・7.5語/秒という記録条件
  14. Shady Records:Side B (Deluxe Edition) ↗2020年12月18日・追加16曲の順序
  15. Apple Music:Side B (Deluxe Edition) ↗全36曲とDeluxe版の再生順
  16. Billboard Japan:全米アルバム・チャート ↗初週279,000相当ユニット/実売117,000枚
  17. Official Charts:英国チャートの同時首位 ↗アルバムとGodzilla/英国初週36,000
  18. ARIA:Eminemの10枚目のNo.1アルバム ↗オーストラリアの首位
  19. Eminem公式:The Death of Slim Shady ↗次のスタジオ作/2024年7月12日
  20. Rolling Stone:制作陣への一次取材 ↗Dre周辺のセッション、ビートと録音の工程
  21. [30] ORICON NEWS:国内盤作品情報・週間アルバム最高順位
  22. [31] ORICON NEWS:エミネムの合算アルバムランキング
  23. [32] TOWER RECORDS:国内盤CD UICS-1360
  24. Eminem公式:Crook’s Cornerインタビュー告知 ↗2020年2月21日/動画ID t96p6-VftzM。原動画は現在再生不可

SECONDARY / REFERENCE

  1. Metacritic:Music To Be Murdered By ↗批評集計64/100、17件
  2. Pitchfork:アルバムレビュー ↗Paul A. Thompson/2020年1月25日
  3. NME:アルバムレビュー ↗当時の批評。社会的視線と挑発への評価
  4. AllMusic:アルバムとクレジット ↗Executive Producer/評論
  5. Wikipedia:Music to Be Murdered By ↗アルバムの概要と参考文献
  6. Eminem Fandom:Music to Be Murdered By ↗曲目とサンプルを紹介するファン百科事典
  7. Eminem.News:Inspired by the Master ↗Hitchcockとの関係を扱うファン媒体
  8. HipHop-N-More:Production Credits ↗各曲の制作クレジット
  9. Eminem.net:アルバムアート ↗別ジャケットを掲載するファンアーカイブ
  10. eminem.news:Crook’s Corner全文書き起こし ↗2020年3月9日/Dre・Hitchcockの制作エピソードを参照
  11. XXL:本編のラッパー名への言及一覧 ↗2020年1月17日/Side B追加16曲の記事とは区別
  12. eminem.news:MTBMBの対立関連記事 ↗2020年1月18日/直接名指しと間接解釈を区別して参照
画像・写真クレジットPHOTO CREDITS / SOURCES & LICENSE

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