
1958 / ALFRED HITCHCOCK
恐怖を、
娯楽に変える。
1958年、ヒッチコックのブラックユーモアから
この題名は生まれた。
A RECORD IN TWO ACTS — 2020
ヒッチコックが開いた、恐怖とユーモアの幕。
その62年後、Slim Shadyがマイクを取る。


1958 / ALFRED HITCHCOCK
1958年、ヒッチコックのブラックユーモアから
この題名は生まれた。
1958 → 2020
題名とブラックユーモアを、
2020年のEminemが受け継ぐ。
62 YEARS LATER

JANUARY 17, 2020
2020年1月17日。
予告なしで発表された11作目。
全20曲 / サプライズリリース

EMINEM / 2020
1958年の題名が、Eminemの11作目へ。
ここから、20曲の世界へ。
写真:Danny Clinch / Levine/Leavitt。
01 / OPENING NOTES
『Music To Be Murdered By』(MTBMB)は、Eminemが2020年1月17日に予告なく発表した、11作目のスタジオアルバム。全20曲、約64分。前作は2018年の『Kamikaze』だ。
題名は「殺されるための音楽」と直訳できる。穏やかな鑑賞用レコードのような名前に、物騒な言葉を差し込むブラックユーモア。その出発点は、映画監督Alfred Hitchcockと作曲家Jeff Alexanderによる1958年のレコードにある。
本作を聴く鍵は、すべてを一つの殺人物語として読むことではない。技巧、怒り、恋愛、依存、そして「Darkness」の社会的な視線を、Hitchcockの声が一つの上演として包んでいる。
同年12月の『Side B (Deluxe Edition)』は追加16トラックを含む拡張版。別の12作目ではなく、このアルバムのもう一つの幕だ。
02 / THE SEQUENCE
2018年の反撃から、2020年の二幕へ。
発売と制作を、同じ時間軸に置く。
『Revival』の受け止められ方への応答を、短く鋭い作品として投下。事前告知を置かない発表方法が、次作にも引き継がれる。
KamikazeのLPへ ↗Dre周辺の演奏家・プロデューサーがビートを制作。取材では2019年夏のセッションが語られる一方、一部ビートの着想はそれ以前に遡る。全曲を「2019年録音」とひとまとめにはできない。
第11作『Music To Be Murdered By』をサプライズ配信。「Darkness」の映像も同時期に公開し、作品の社会的な一面を提示した。
3月4日に日本盤CD。3月9日(米国日付)にはCole Bennett監督の「Godzilla」MVが公開される。配信、国内盤、映像という異なる入口がそろう。
『Side B (Deluxe Edition)』で16トラックを追加。「Gnat」などを含め、2020年の作品世界を36曲へ広げた。
03 / WITHOUT A TRAILER
反撃を、短く鋭い作品に。
反論に加え、私的な声と社会への視線。
PRESS PLAY FIRST.
告知から期待を育てる代わりに、完成した作品を先に渡す。
『Kamikaze』とMTBMBに共通するのは、リリースの瞬間までアルバムを伏せたこと。Eminem公式もMTBMBをサプライズの新作として案内している。
『Revival』の批評への反応は、「Premonition」にも残っている。しかし、それだけを発売方式の理由と断定することはできない。公開日を隠した事実と、本人の心理を説明する推測は別だ。
予告編なしで映画が始まるように、タイトル、カバー、Hitchcockの声を一度に受け取らせる。その体験は本作の演出とよく合う。これは発表形式の効果についての読みであり、本人が述べた制作意図ではない。
04 / THE ORIGINAL HOST


恐怖を娯楽に変える、二人の案内人。
1958年の言葉の仕掛けを継承
別カバーの斧と拳銃
幕間・Little Engine・終幕
語り手との距離を読む
作品からの解釈曲ごとの違いを一つの枠へ
作品からの解釈1958年の作品は、映画の一本分のサウンドトラックではない。Hitchcockが案内役を務め、Jeff Alexanderの編曲・音楽を通して、物騒な題材を家庭で聴くレコードの娯楽へ持ち込んだ作品だ。
大げさに恐怖を叫ぶのではなく、礼儀正しく、落ち着いた声で不吉なことを言う。恐ろしさと可笑しさが同居する仕掛けは、後年のEminemにも通じる。
確認できる事実:2020年のタイトルとアートが1958年作に着想を得たこと、Hitchcockの録音音声が使われていることは、Eminem側とHitchcock側の公式情報で確認できる。単なる「似ているジャケット」という偶然ではない。
Slim Shadyは、語り手の人格を演じることで、悪趣味な冗談を現実の本人からずらしてきた。Hitchcockの落ち着いた司会も、聴き手へ「これから上演が始まる」と知らせる。両者の親和性は、残酷さの量よりも、見せ方と語り手の距離にあると考えられる。
“Music to be … by”という鑑賞用音楽らしい型に、“Murdered”を入れる。優雅さと不穏さが同居する言葉の仕掛けを、Eminemはそのまま作品の入口にした。
ラップで相手を圧倒する誇示、架空の暴力、現実への批判は同じではない。本作はその境界を行き来する。タイトルが挑発的だからこそ、各曲の視点を見分ける必要がある。
Hitchcockの冷静な口調と、Eminemの過密な言葉は対照的だ。静かな司会が次の騒ぎを予告することで、アルバムの強弱が生まれる。
本人の語りが聞こえる最初の独立した幕間。時代の異なる声が作品に直接入り込む。
曲の冒頭にもHitchcockの声。アルバムの枠組みが、スキット以外の楽曲へ食い込む。
最後も案内人の声へ戻る。MCの競演を経て、1958年と2020年を結んだ幕が閉じる。
05 / SLEEVE NOTES
「MTBMBのジャケット」は一枚ではない。
配信の標準画像、斧と拳銃を持つ別ジャケット、日本盤CDの商品画像を分けて見ると、混同を避けられる。UMJもデジタルとフィジカルでジャケットが異なると案内している。
拡大・注釈 +
拡大・注釈 +
拡大・注釈 +斧と拳銃の対応は画像から観察でき、オマージュであることは公式にも確認できる。一方、背景色や小道具の一つひとつに特定の映画名や本人の心理を当てはめる根拠はない。配信カバー全体を特定のHitchcock映画の再現とは断定しない。

THE ART OF BLACK HUMOR
A FAMILIAR06 / SIX READINGS
恐怖、ユーモア、技巧、親密さ、ヒップホップへの帰属、社会への視線。六つの切り口から聴くと、一曲の中にも異なる表情が見えてくる。
暴力を演じる声
誇張された復讐や不条理なイメージが、キャラクターとしての語りを立ち上げる。すべてを本人の実体験の告白として読むことはできない。
悪趣味と可笑しさ
Hitchcockの乾いた語りから、駄洒落や下品な会話まで。笑いは一色ではなく、不快さを伴うこともある。
技巧そのものを聴かせる
速さ、韻の密度、声の切り替え、客演との受け渡し。技術は記録を競うだけでなく、曲の緊張を作る手段になる。
関係から抜け出せない
親密さと依存を重ねる曲群。特にNever Love Againは、恋愛として聴いた言葉の意味が終盤で変わる。
評価と、ラップへの帰属
外部の評価への反論と、ヒップホップに身を置く誇り。同じアルバムの中に防御と敬意が共存する。
演技が現実に触れる
孤立した語り手の視点を通じて銃暴力へ焦点を合わせる。ほかの曲の架空の殺意と、この曲の社会的な目的は区別して聴きたい。
07 / A STORY IN TWO PERSPECTIVES

THE FILM / DARKNESS
二つの視点。開演前の孤独や不安を連想する
後半で、それまでの言葉の意味が変わる
楽曲・映像の構成を示す図。演者や加害者の実際の心理を説明するものではありません。
最初に見えていた「ステージ前の孤独」が、別の場面へとつながる。仕掛けの精密さだけでなく、視点が変わった後に何が残るかが、この曲の中心だ。
部屋、酒、緊張、観客。Eminem自身が開演前に抱える不安のようにも聞こえる言葉が積み重なる。聴き手は、まず彼の内面を想像する。
語りと映像は、2017年10月1日のラスベガス銃乱射事件をもとにした場面へ接続する。同じ言葉が別の意味を帯び、最初の理解を聴き直すことになる。
前半の語りはEminemの実録ではなく、聴き手の連想を利用する演出だ。後半の事件描写も犯人の実際の心理を証明するものではない。孤独な「私」を追った聴き手は、最後にその視点から離れ、事件が残した現実に向き合う。
映像の終盤は、銃暴力を伝えるニュースや、投票・銃規制をめぐる呼びかけへ移る。これは加害者を称える終わり方ではなく、事件の反復を社会の問題として問い直す構成だ。
架空の暴力を使うアルバムが、実際の銃暴力を批判する。その緊張は解消されない。むしろ「Darkness」があることで、タイトルの挑発を無条件に楽しむ聴き方も揺さぶられる。
制作面ではRoyce da 5'9"とEminem、追加制作のLuis Restoが関わる。Royceが語ったDarknessのビート制作では、ビートがどのようにEminemへ渡ったのかをたどれる。
公式MVを見る ↗前半と後半で変わる言葉の意味が、最後には銃暴力をめぐる社会への問いにつながる。
08 / MELODY MEETS VELOCITY

THE FILM / GODZILLA
CHANGEJuice WRLDの歌がつくる、覚えやすい入口。そこからEminemの言葉は、制御不能なほど加速していく。
Juice WRLDは2019年12月に亡くなり、「Godzilla」はその死後の初期に世に出た客演曲の一つとなった。新世代のメロディー感覚と、Eminemの圧倒的な発語が同居することに、この共演の意味がある。
Cole Bennett監督のMVにはMike Tyson、Dr. Dreも登場し、最後にはJuice WRLDへの追悼が置かれる。怪物のような誇張と故人への敬意が、別々の温度で残る映像だ。
Godzillaの歌詞和訳とワードプレイ解説では、速度だけでは拾いきれない多重の意味をたどれる。制作の入口はGodzillaのプロデューサーが語る制作背景へ。
公式MVを見る ↗GUINNESS / DEFINITION MATTERS
Guinnessが掲載する条件は、曲の2:57〜3:27の30秒間に225語。この部門の記録を、あらゆる曲・あらゆる測定方法での「世界最速」と言い換えない。
後者は約10.65音節/秒。語と音節の単位も、区間も異なるため、7.5と10.65を同じ記録の別表記として扱うことはできない。
225語 ÷ 30秒
330音節 ÷ 31秒
数える単位と測定区間が異なるため、同じ記録として比較できません。
Godzilla Challengeは高速パートを再現する参加型の企画として展開された。だが、この曲を速度だけで終わらせるのは惜しい。Juice WRLDのフックがあるからこそ、終盤の密度がいっそう際立つ。
09 / CLOSE LISTENING
アルバムの多彩な表情が分かる4曲をピックアップする。
TRACK 01
批評への返答
Eminem
Producer: Eminem / Dr. Dre / Mark Batson
批評への返答が、まだ終わっていない。短い導入でKamikazeとの連続性を示し、後に続く別の主題との距離も作る。
TRACK 03
生き延びてきた声
Royce da 5'9" / White Gold
Producer: Royce da 5'9"
Royceがビートとラップの両方を担い、White Goldが感情の輪郭を作る。技巧が単なる競争から、生き延びてきた語りへつながる一曲。
TRACK 14
愛憎から依存へ
Eminem
Producer: Dr. Dre / Dem Jointz / Trevor Lawrence Jr. / Dawaun Parker
相手への愛憎として聞こえた語りが、依存との関係にも読めるようになる。恋愛曲という型を使った、意味の反転が聴きどころ。
TRACK 19
終盤のマイクリレー
KXNG Crooked / Royce da 5'9" / Joell Ortiz
Producer: Eminem
KXNG Crooked、Royce、Joell Ortizを迎える終盤のマイクリレー。攻撃性を誰かへの反論だけでなく、MC同士の腕比べへ向けて締める。

THE VOICE / EMINEM
BEHIND10 / ORIGINAL EDITION
オリジナル版・全20曲を、公式の順序で。
批評家と聴き手の相反する要求へ応答する導入。Kamikazeで始まった評価をめぐる攻防を、新しい作品の入口へ持ち込む。
Producer: Eminem / Dr. Dre / Mark Batson
追加制作: Dawaun Parker / Luis Resto
feat. Young M.A
feat. Royce da 5'9" / White Gold
Royceがラップとビートを担う。White Goldの歌を挟み、二人の技術と生存の物語が交差する。
Producer: Royce da 5'9"
共同制作: Eminem
追加制作: Luis Resto
ヒッチコックの声がアルバムへ再登場する短い幕間。語りそのものが作品の案内役になる。
Producer: Dr. Dre / Dawaun Parker / Andre “Briss” Brissett
▶ YouTubeで聴く ↗feat. Ed Sheeran
Ed Sheeranのフックを軸に、夜の遊びと会話をコミカルに描く。重い題材の間に置かれたパーティー曲。
Producer: d.a. got that dope
共同制作: Eminem
追加制作: FRED
feat. Juice WRLD
Juice WRLDのメロディーと、終盤へ向かって加速するEminemのラップが対照をなす。
Producer: d.a. got that dope
追加制作: Eminem
孤独な演者を思わせる描写が、ラスベガス銃乱射事件を題材にした物語へ重なっていく。
Producer: Royce da 5'9" / Eminem
追加制作: Luis Resto
feat. Skylar Grey
feat. Royce da 5'9" / Black Thought / Q-Tip / Denaun
継父への怒りを復讐のフィクションに変換する。個人的な語りと誇張された物語を区別して聴きたい。
Producer: The Alchemist / Eminem
追加制作: Luis Resto
恋愛の別れにも依存との決別にも読める二重性が鍵。言葉の意味を聴き返しによって反転させる。
Producer: Dr. Dre / Dem Jointz / Trevor Lawrence Jr. / Dawaun Parker
追加制作: Eminem
ヒッチコックの語りと異様なユーモアが近づく曲。緻密な制作と落ち着きのない言葉の運動を楽しめる。
Producer: Dr. Dre / Erik “Blu2th” Griggs / Trevor Lawrence Jr. / Dawaun Parker
▶ YouTubeで聴く ↗feat. Anderson .Paak
Anderson .Paakの歌とDreチームの弾むグルーヴが軸。威圧感だけでなく、リズムの余裕が聴きどころ。
Producer: Dr. Dre / Dawaun Parker / Erik “Blu2th” Griggs / Trevor Lawrence Jr. / Dem Jointz
▶ YouTubeで聴く ↗feat. Don Toliver
Don Toliverのメロディーを迎え、過去の言動やキャリアを振り返る。批評への反発だけでは終わらない曲。
Producer: d.a. got that dope
追加制作: Eminem
feat. KXNG Crooked / Royce da 5'9" / Joell Ortiz
ヒッチコックの声が最後の挨拶を担う。冒頭から続くブラックユーモアの枠を閉じる。
Producer: Dr. Dre / Dawaun Parker / Andre “Briss” Brissett
▶ YouTubeで聴く ↗11 / THE PEOPLE BEHIND THE RECORD
Executive ProducersはDr. DreとSlim Shady(Eminem)。Dreは統括名義だけでなく、「Premonition」「Little Engine」「Lock It Up」などで実際の制作にも参加している。
制作陣への取材では、Dawaun Parker、Trevor Lawrence Jr.、Dem Jointz、Erik Griggsらが演奏を重ね、ビートを組み立てた様子が語られる。Eminemの録音と同じ部屋・同じ時間で全工程が進んだとは限らない。
この協働は『Relapse』期の制作にも連なる関係だ。ただし「DreがRelapse以来初めて戻った」という意味ではない。MTBMBでは、その周囲の音楽家を含む制作網が、後半の音の厚みを支えている。
Royce da 5'9"は客演と制作を横断。d.a. got that dopeは「Godzilla」や「Those Kinda Nights」、Skylar Greyは「Leaving Heaven」、Mr. Porterは「Yah Yah」、The Alchemistは「Stepdad」に関わる。
一枚を一人のプロデューサーで統一するのではなく、曲ごとに違う質感を配置する。Hitchcockの声は、その多様な音をつなぐ数少ない共通の仕掛けでもある。

12 / RECEPTION & REACH
商業的な強さと、批評の一致は同じではない。数字が示す到達点と、聴き手に残る違和感を分けて読む。
全米では、当時10作連続の首位デビューを達成した。「10枚のスタジオアルバムが連続して1位」という意味ではなく、集計にはベスト盤も含まれる。初週279,000はストリーミング等を換算した単位で、CDの販売枚数ではない。
英国でもアルバムが1位となり、「Godzilla」と同週にアルバム/シングルの首位を獲得。初週は約36,000チャートセールス。オーストラリアでもARIAアルバム・チャートの1位に入った。
これは複数のレビューを横断した整理であり、すべての媒体が同じ評価をしたわけではない。Pitchforkはラップ史への目配りを拾いながら自己弁護の限界を論じ、NMEは社会的な視線と挑発性の両面を扱った。Metacriticの64点も「全員の合意」ではなく、異なる批評を集計した値だ。
13 / THE SECOND ACT — 18 DECEMBER 2020

DECEMBER 2020 / THE SECOND ACT
THE STORY2020年12月18日、もう一度幕が開く。
『Music To Be Murdered By – Side B (Deluxe Edition)』は、1月のオリジナル20曲に16トラックを追加した全36曲の拡張版。イントロやスキットも追加曲数に含まれる。独立した12作目のスタジオアルバムではない。
Deluxe Editionでは追加16曲が先に配置され、その後にオリジナル20曲が続く。

Hitchcockのテレビ番組を連想させる音と、畳みかける言葉遊び。
Alfred’s Themeの和訳 ↗パンデミックの語彙とラップの誇示を重ねる、2020年らしい一曲。
Gnatの和訳 ↗達成を重ねてもなお先を目指す意志と、ファンへの視線。
Higherの和訳 ↗音楽業界との距離や、キャリアを重ねた語り手の立ち位置。
Zeusの和訳 ↗THE NEXT CHAPTER
Side Bの専用LPは後日公開予定。
14 / JAPAN EDITION
『ミュージック・トゥ・ビー・マーダード・バイ』
UICS-1360
発売日:2020年3月4日
CD / 全20曲
発売元情報:Universal Music Japan
2020年1月17日はオリジナルの世界配信日。日本盤CDの発売日とは分けて覚えておきたい。
UMJの日本盤商品ページには、収録曲とCDのカバー画像が掲載されている。配信画面で見慣れた帽子姿のジャケットとは異なるため、タイトルと品番UICS-1360を合わせて確認すると確実だ。
この品番は1月版の20曲を収めた国内盤。Side Bの追加16曲を含む36曲版とは仕様が異なる。通販の商品検索では、オリジナル/Deluxe、国内盤/輸入盤、CD/レコードを見分けたい。
Universal Music Japanの製品情報 ↗日本では、オリコン週間アルバムランキングで最高38位、週間合算アルバムランキングで最高49位を記録した。集計方法の異なる二つのチャートの最高順位であり、販売枚数を示す数字ではない。
国内盤CDはユニバーサル ミュージックから2020年3月4日に発売され、タワーレコードでも品番UICS-1360の国内盤として取り扱われた。1月の世界配信から約1か月半後、日本でも20曲をまとめてCDで聴ける形が整った。

2020 / END CREDITS
EMINEM.15 / AFTER THE FINAL FRAME
語り手が作る、作品の枠
速さと余白、声の技術
Darknessが社会へ向く
Side Bまで続く2020年
『Kamikaze』で外へ向いた攻撃性は、この作品で消えたわけではない。だが、反論だけでは収まりきらない曲が、Hitchcockの演出の中に入り込んだ。
Eminemの私的な声、Slim Shadyの誇張、技術そのものの快感、ブラックユーモア、銃暴力への問題提起。これらが矛盾なく統合されたアルバムと評価するのは難しい。その不揃いさが、弱点にも、何度も聴き直す理由にもなる。
1958年のレコードから借りたのは、題名だけではない。語り手が聴き手を招き入れ、ときに油断させ、意味を反転させる方法だった、と読むことができる。「Godzilla」の技術と「Darkness」の物語が同居することに、MTBMBの作品史上の位置がある。
Side Bまで聴くと、その枠は2020年の現実や過去の作風へさらに広がる。前作への応答から、複数のEminemを一つの舞台に乗せる作品へ。それが、このアルバムを『Kamikaze』の単なる続編にしない理由だ。
16 / LISTEN & OWN
まず1月版の20曲を通して聴き、その後にSide Bへ。購入時は収録曲数と版を確認してください。
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17 / QUESTIONS, ANSWERED
Eminemの11作目のスタジオアルバムです。前作は2018年のKamikazeです。
オリジナルの世界配信日は2020年1月17日です。日本盤CDは2020年3月4日、Side B (Deluxe Edition)は2020年12月18日に発売されました。
イントロや幕間を含め全20曲、収録時間は約64分です。Side Bの追加16曲はこの20曲に含めません。
直訳すれば「殺されるための音楽」。鑑賞用音楽らしい言い方に物騒な言葉を組み合わせたブラックユーモアで、1958年のHitchcockのレコードから受け継がれています。
元になったのは、HitchcockとJeff Alexanderによる1958年のAlfred Hitchcock Presents Music to Be Murdered By。タイトルとアートの着想源であり、本人の録音音声もアルバムで使われています。
Juice WRLDが客演しています。主制作はd.a. got that dope、追加制作はEminemです。
ステージ前の演者の孤独を思わせる描写と、2017年のラスベガス銃乱射事件をもとにした語りを重ねる曲です。公式MVは銃暴力を社会の問題として問い直すメッセージへつながります。
11作目MTBMBのDeluxe Editionです。新たな16トラックとオリジナル20曲で全36曲。独立した12作目ではありません。配信版では追加16曲が先に再生されます。
UICS-1360は2020年3月4日発売の日本盤CDで、オリジナル20曲を収録します。12月のSide B追加16曲は含みません。
2024年7月12日発売の12作目The Death of Slim Shady (Coup De Grâce)です。2022年のCurtain Call 2はベスト盤なので、次のスタジオ作とは区別します。
19 / THE RECORD OF SOURCES
作品の背景をさらにたどりたい方へ。公式の作品情報、制作陣への取材、発売当時のレビューを紹介する。