
WHAT IS THE SLIM SHADY LP?
The Slim Shady LPとは?
『The Slim Shady LP』は、1999年2月23日に発売されたEminemの2枚目のスタジオ・アルバムで、メジャー進出を決定づけた作品。Slim Shadyという挑発的なペルソナを前面に押し出し、Dr. DreとデトロイトのBass兄弟がその声を支えた。「My Name Is」「Guilty Conscience」のブラックユーモアと、「Rock Bottom」の生活の切実さが同居する、全20曲のアルバムだ。[2][3][4]
ザ・スリム・シェイディLP。通称SSLP。初めて聴くなら、名前を覚えさせる「My Name Is」と、生活の底を見つめる「Rock Bottom」を続けて聴くと、この作品の幅がつかみやすい。
- 米国発売日
- 1999年2月23日
- アーティスト
- Eminem / エミネム
- 位置づけ
- 2nd studio album / メジャー初作
- レーベル
- Aftermath / Interscope
インディ期のWeb / FBTの制作基盤を継承 - 主要制作陣
- Dr. Dre、Mark & Jeff Bass、Eminem
- 通常盤
- 全20曲(スキットを含む)
BEFORE SHADY
地下から届いた、別の声。
INFINITE
THE EP
THEN THE LP
InfiniteからSlim Shady EPへ
1996年の『Infinite』を経て、1997年の『Slim Shady EP』で、EminemはSlim Shadyというキャラクターを前に出した。技巧を見せるラップに、誇張した一人称、物語、笑いが加わる。LPの発明が突然始まったわけではない。[12][18][11]
1997年のRap Olympicsでの準優勝をきっかけに、Interscope側へ音源が渡り、Jimmy IovineからDr. Dreへつながった。GRAMMYの略歴は、この経路でEPがDreに届いたと記している。バトルの実績と録音されたキャラクター。その両方が次の入口になった。[6]
EPとLPを曲でつなぐなら、「Just Don't Give a Fuck」と、のちに「'97 Bonnie & Clyde」となる「Just the Two of Us」が手がかりになる。拒絶を押し出すラップと、父親の口調で進む物語。Shadyの表現はメジャー契約後に一から与えられたものではなく、EPから引き継がれている。[34]
『Infinite』の背景を読む ↗WHO IS SLIM SHADY?
Slim Shadyとは? 名前の意味と役割
A NAME
A VOICE
A PERSONA
Slim Shadyは、Eminemが楽曲の中で演じるペルソナ。怒り、悪趣味な冗談、挑発を、日常の本人よりも極端な声で話すためのキャラクターだ。単なる別名だけでは、その働きを捉えきれない。[3][12]
「意味」は、直訳だけではつかめない
英語のslimは「ほっそりした」、shadyは「怪しい・うさんくさい」という含みを持つ。[15][16]ただし名前の直訳と、命名の経緯は別の話。作品で理解するなら、善良な自己紹介を期待させて裏切る「My Name Is」や、模範を求める社会をからかう「Role Model」が近道になる。
現実の出来事がそのまま記録されている、と読むのも危うい。話す声と書いた人物の間に距離を作り、あり得ない物語を一人称で進める仕掛けとして聴きたい。ここでいう「人格」は表現上の役割で、医学的な診断ではない。
Marshall / Eminem / Shadyの関係へ ↓DRE × EMINEM
出会いを、レコードに変える。
NEW YORK / 1999.09.09TWO PRODUCTION WORLDS
LOS ANGELES
Dr. Dre / Aftermath
DETROIT
Mark & Jeff Bass / FBT
Aftermathとデトロイトの制作基盤
Dreの役割はメジャーへの紹介だけではない。「My Name Is」のビート、「Guilty Conscience」の掛け合い、「Role Model」の制作に関わり、Eminemの言葉が届く音の輪郭を作った。[3][4]
一方、アルバム全体を「Dreが作った作品」とまとめると、Bass兄弟の仕事が見えなくなる。レコード会社の解説でも、インディ期のEPとFBTのトラックを基盤にした制作が説明されている。暗い物語と生活感のある曲を支えるデトロイトの制作と、Dreの引き締まった音。その接点にLPがある。[11]
「Rock Bottom」の公式クレジットでは、Bass兄弟の制作にDreのミックスが重なる。プロデュースとミックスを分けて見ると、二つの制作陣を単純な二分法で捉えられないことも分かる。[4]
2000年のMIX取材では、Jeffが曲の骨格やギター・ベース・鍵盤を作り、Markが主にエンジニアリングと打楽器の組み直しを担うと説明されている。Eminemの鼻歌をJeffが音にしたベースラインもあった。本人も、Jeffの演奏を加えることでビートが厚くなったと語る。[25]
CREDITS / DIFFERENT ROLES
制作とミックスを、曲ごとに分ける。
現行レコード会社カタログの曲別表記を整理。Producer/Co-Producerは制作、Mixer/Mix Engineerはミックス関連の別欄で、録音担当を示す欄と同一には扱わない。[4]
| 曲 | Producer / Co-Producer | Mixer / Mix Engineer |
|---|---|---|
| Guilty Conscience | Dr. Dre / Marshall Mathers | Dr. Dre / Richard “Segal” Huredia |
| Role Model | Dr. Dre / Mel-Man | Mix Engineer:Richard “Segal” Huredia |
| Brain Damage | Mark & Jeff Bass / 共同制作:Eminem | Mr. B / Alan Mason |
| Rock Bottom | Mark & Jeff Bass | Dr. Dre / Richard “Segal” Huredia |
| Just Don’t Give a Fuck | Eminem / Mark & Jeff Bass | Mr. B / Aaron Lepley |
演奏・録音から見える、もう一つの制作現場
MIXの取材は、Bass兄弟がロサンゼルスのThe Mix Roomにも制作拠点を置いたと記す。「DETROIT」は二人の出自と制作の基盤を指し、録音場所を一都市に限定する表示ではない。
Jeffは自分たちの演奏をPro Toolsで整える一方、ラッパーのフレージングはそのまま収めると説明。SSLPではKurzweil K2000とPro Toolsを主に用い、Aaron Lepleyがヘッド・エンジニアを務めたという。曲別の肩書と、取材で語られた作業の範囲を分けて読むと、ビートを作る人だけで制作が完結していないことが見えてくる。[25]
THE TRACKS / ORIGINAL ALBUM
The Slim Shady LPの収録曲・全20曲解説
通常盤の曲順。スキットも含めて、一枚の流れを追う。
各曲の「聴く」からYouTubeの公式音源へ移動できる。
「Just Don't Give a Fuck」「Still Don't Give a Fuck」は、YouTubeで年齢確認のログインが求められる場合がある。
曲順:公式ディスコグラフィ。主要クレジット:レコード会社/公式配信。全スタッフを列挙したものではない。聴きどころは本サイトの論評だ。[1][4][5]
- 聴く
Public Service Announcement
声:Jeff Bass / Eminem
注意書きの口調を借りた短い導入。アルバムに「責任ある商品」の顔をさせた直後、その顔を崩す。ラップが始まる前から、広告や放送の言葉そのものが笑いの対象になる。
- 聴く
My Name Is
制作:Dr. Dre
Labi Siffreの「I Got The...」を使ったループに、覚えやすい名乗りを乗せる。名前を何度も聞かせるフックと、自己紹介としては明らかに過剰なヴァース。その落差が入口になる。
- 聴く
Guilty Conscience
客演・制作:Dr. Dre / 制作:Eminem
行動を選ぶ直前の3人をめぐり、二つの声が口論する。Dr. Dreが抑止役、Eminemが誘惑役を担うが、最後にはDre自身の経歴を突く言葉が入り、善悪の配置まで揺らぐ。
- 聴く
Brain Damage
制作:Mark & Jeff Bass / 共同制作:Eminem
学校でのいじめを出発点に、話が身体的にも物語的にもあり得ない方向へ膨らむ。声色を変えて登場人物を演じるため、被害の記憶がそのまま漫画のような報復劇へ変わっていく。
2022年の『The Eminem Show』拡張版には、1999年のTramps公演のライブ音源も収録された。スタジオ版の声色による寸劇を、舞台上でのラップと聴き比べる資料になる。[30]
- 聴く
Paul (Skit)
声:Paul Rosenberg
マネージャーの留守番電話という形で、聴いた内容への困惑を差し込む。約束された「大人の監督」が機能していないことを、短い会話だけで示すスキット。
- 聴く
If I Had
制作:Eminem / Mark & Jeff Bass
疲れた仕事と金のない生活を並べ、もし金があればという願いへ進む。淡々と積み上がる不満と、次第に大きくなる空想の差が、笑いと切実さを同じ曲に置く。
- 聴く
'97 Bonnie & Clyde
制作:Mark & Jeff Bass / 共同制作:DJ Head
父親が娘に話しかける柔らかな口調と、聞き手が察する出来事が食い違う。直接的な叫びよりも、語り手だけが平静を保っていることが不穏さを生む。
- 聴く
Bitch (Skit)
声:Zoe Winkler
アルバムへの嫌悪を電話の声として挟む。作品の外にいるはずの批判者を、作品の中に取り込んでしまう配置。「Role Model」の直前に置かれている点も効いている。
- 聴く
Role Model
制作:Dr. Dre / Mel-Man
手本にするべきでない人物が、自分を手本にせよと迫る逆説。著名人に求められる道徳と、ラップの誇張された自己演出を正面からぶつける。乾いたビートが言葉の輪郭を立たせる。
- 聴く
Lounge (Skit)
出演:Eminem / Jeff Bass / Mark Bass
ラウンジ風の歌唱で、次の「My Fault」のフックを先に聞かせる。曲間の休憩ではなく、同じ旋律を別の舞台に移した小さな予告編として働く。
- 聴く
My Fault
制作:Eminem / Mark & Jeff Bass
パーティーで起きた失敗を、一人称の慌てた説明で追う。語り手が状況を説明すればするほど事態は悪くなる。軽い歌のフックが、責任を取れない人物の言い訳に聞こえてくる。
- 聴く
Ken Kaniff (Skit)
出演:Aristotle / Eminem / Mark Bass
電話越しの会話だけで、妙に生々しい侵入者を出現させる。曲の物語とは異なる狭い音場が、アルバムを「録音された部屋」の感触へ引き戻す。
- 聴く
Cum On Everybody
制作:Eminem / Mark & Jeff Bass
踊ることを促す軽快な反復に、自己破壊的な冗談を重ねる。パーティーの音楽として進むほど、語られる内容とのずれが目立つ。明るさが救いになるとは限らない曲。
- 聴く
Rock Bottom
制作:Mark & Jeff Bass / ミックス:Dr. Dre
金銭の不足が、家族を養う不安、焦り、自己嫌悪へつながる。ここでは奇抜なキャラクターを追うより、逃げ場のない一人称を聞くことが大切。反復するフックも祝祭ではなく閉塞感を強める。
- 聴く
Just Don't Give a Fuck
制作:Eminem / Mark & Jeff Bass
世間の承認を拒む態度を、連続する比喩と韻で押し出す。説得するための説明を省き、ラップの技術そのものを自己紹介にする。タイトルの拒絶は、アルバム後半で再び形を変える。
LP版の公式データではMixerにMr. B、Mix EngineerにAaron Lepleyが記載される。制作名だけでは見えない録音後の仕事も、この曲を支えている。[4]
- 聴く
Soap (Skit)
出演:Jeff Bass / Royce da 5'9"
昼ドラを思わせる大げさな台詞と音楽で、会話の深刻さをわざと芝居にする。次の「As the World Turns」と並べると、現実のように語るフィクションというアルバムの癖が見えてくる。
- 聴く
As the World Turns
制作:Eminem / Mark & Jeff Bass
日常の移動を語る一人称が、次々に荒唐無稽な騒動へ巻き込まれる。出来事を増やす速度と韻の連鎖が、話の信憑性よりも語りの勢いを優先する。
- 聴く
I'm Shady
制作:Mark & Jeff Bass / 作曲者表記:Curtis Mayfieldほか
悪癖や不穏な言動を軽い調子で名刺のように並べる。重い出来事を話す他曲と違い、「Shadyである」という態度そのものを反復し、キャラクターを短く定着させる。
- 聴く
Bad Meets Evil
客演:Royce da 5'9" / 制作:Eminem / Mark Bass / Ryan Montgomery / 共同制作:Jeff Bass
RoyceとEminemが別々の悪役として登場し、互いのヴァースで空想の規模を広げる。一人で声色を変える曲とは異なり、二人のラップの接続そのものが人物設定を作る。
- 聴く
Still Don't Give a Fuck
制作:Eminem / Mark Bass / 共同制作:Jeff Bass
「Just」で提示した拒絶を、「Still」で終幕まで貫く。自分を嫌う相手に向けた言葉が次々に増え、作品を聞いてなお生まれる批判まで取り込むような締め方になる。
06 / FEATURED TRACK 02
MY
NAME IS

自己紹介が、世界への入口になる。
Labi Siffreの「I Got The...」を引用したDreのビートは、奇妙な言葉を載せても重くなりすぎない。フックは初めて名前を聞く人にも残る。その覚えやすさの先で、自己紹介が学校、家族、テレビへの悪態へ変わっていく。[3]
MVではEminemが教師や腹話術の人形など、テレビの中の人物に次々と扮する。Dreも出演。本人が名乗る曲なのに、画面では本人の輪郭が一つに定まらない。Slim Shadyを「演じられる声」として見せる映像でもある。[3]
2000年のGRAMMYではBest Rap Solo Performanceを受賞。アルバム全体を聴く前の人へ届くシングルとして、その名乗りが機能した。[6]
フックの誕生と、サンプルの許諾。
2017年のドキュメンタリー『The Defiant Ones』を紹介した公式記事で、Dreは自宅スタジオで用意したビートを聴かせると、Eminemがすぐに名前を名乗るフックを返したと振り返っている。後年の回想が示すのはフックの着想であり、曲の全歌詞や録音がその場で完成したという意味ではない。[26]
音の着想と、使用許諾は別の工程だ。Labi Siffreは2012年の本人インタビューで、女性や同性愛者を侮辱する歌詞が修正されるまでサンプル使用を認めなかったと説明した。同時に、条件を全バージョンへ明示しなかったとも語っている。この証言を、すべての音源で歌詞が同じという根拠にはできない。[27]
公式MVを見る07 / FEATURED TRACK 03
GUILTY
CONSCIENCE
二つの声。三つの選択。
強盗、パーティー、家庭。それぞれの場面で、行動を選ぶ直前の人物にEminemとDreが語りかける。ヴァースを順番に披露する客演とは違い、相手の台詞を聞いて反論する会話が曲を動かす。
Dreを良心、Shadyを誘惑として聴けば入口は分かりやすい。ただし最後の場面では、EminemがDre自身の過去を持ち出して立場を崩す。「正しいことを言う声」が必ずしも無傷ではないという仕掛けが、単純な道徳劇に終わらせない。
制作・客演は公式クレジット、曲の構造は音源に基づく本サイトの論評。下のリンクはEminemVEVOのDirector's Cutで、アルバム音源とは区別する。[4][5]
公式MVを見る ↗
'97 BONNIE & CLYDE / TRACK 07
声が優しいほど、距離が生まれる。
この曲の要点は、出来事の残酷さを強く叫ぶことではない。娘に語りかける父親の声が、最後まで親密に聞こえることにある。聞き手は声の優しさと話の内容を同時に受け取り、そこに埋められない距離を感じる。
ジャケットの桟橋や車と合わせて見ると、アルバムの不穏な物語の入口にもなる。語り手が何を隠し、何を平然と話すのか。ここでは作者の実生活と直結させるより、限定された視点で進むフィクションとして読むほうが、曲の作りが見えてくる。
曲の語りとジャケットの関係は、本サイトの解釈だ。
07のクレジット・公式音源へ ↑09 / TRACK 14
ROCK
BOTTOM
冗談を止めたところに、
生活が残る。
仕事、支払い、家族を養う責任。曲はそれらを、どこにも抜けられない一人称の圧力として描く。空想を大きくすることで切り抜ける他の曲と違い、ここでは生活の小さな不足が積み重なって、声を追い詰めていく。
1999年のPollstarの取材で、Eminemは「Rock Bottom」と「If I Had」を、冗談を離れた自分の実感に基づく曲として説明している。経済的な苦しさを含む歌の内容と、この発言を結びつけて聴くことはできる。ただし、歌の一行一行を検証済みの伝記として扱うわけではない。[9]
Shadyの派手な悪ふざけだけを追うと、この静かな重さが抜け落ちる。Bass兄弟の制作とDreのミックスが支える音の上で、ラップのリアリティが別の形で現れる。[4]
14のクレジット・公式音源へ ↑ROLE MODEL / JUST / STILL
「手本」と「承認」を拒む3曲。
Just Don't Give a Fuck
認められるために整えた自己紹介を拒否する。前に進む韻と比喩が、拒絶の言葉に技術的な説得力を与える。
公式MV ↗EPからシングルへ、初期のリリース背景を読む ↗
「Just」から「Still」へ。
名前を覚えさせるだけでなく、
その名前を嫌われることまで
アルバムは引き受ける。
THE PERSONA
Marshall / Eminem / Slim Shady
三人の別人に分けると、かえって聞こえなくなる。
MARSHALL
MATHERS
生活の当事者としての名前。
「Rock Bottom」「If I Had」では、金と仕事と家族の負担が声の中心にある。本人が当時の取材で示した実感を踏まえると、ここに生活者の輪郭が見える。[9]
EMINEM
ラップするアーティストの名前。
韻を組み、場面を切り替え、人物を演じる技術の主体。ふざけた話にも、切実な話にも、同じラッパーの細かい言葉の操作がある。
SLIM
SHADY
誇張して話すペルソナ。
「My Name Is」「Role Model」などで、悪い自己紹介と笑いを引き受ける声。作者と語り手の距離を広げ、常識を外れた話を進める。
後年、Shadyはどう読み直されたか
2013年のMMLP2について、Eminemは当時の取材で、旧曲を一曲ずつ続ける続編というより、雰囲気や記憶を再訪する作品だと説明した。過去の名前を使っても、同じ役柄をそのまま再演するわけではない。[31]
2024年の『The Death of Slim Shady』には「Guilty Conscience 2」が登場する。公式ストアも1999年のSSLPと2024年作を一組にしたレコード商品を案内している。1999年の「悪い自己紹介」が後年どんな対話へ変わるのか。Slim Shadyを再び扱う2024年作の背景を読む →[32]
NUMBERS / CHARTS, NOT MYTHS
チャート・売上・認定・受賞歴
Best Rap Album — The Slim Shady LP
Best Rap Solo Performance — My Name Is [6]
RIAAの5×プラチナは米国で500万の認定単位に相当する。世界売上500万枚という意味ではなく、現在の実売CD枚数とも同一ではない。世界累計の最新実売、日本の確定売上は、今回確認できる一次資料で裏付けられなかったため掲載していない。日本のチャート情報は、下の日本セクションで対象盤を明示して掲載。資料確認日:2026年10月8日。[17]
JAPAN / EDITIONS
日本盤の発売日・品番・収録内容
日本の初出と、いまカタログで確認できる再発盤を分けて見る。1999年4月21日は日本オリジナル発売日。下のUICY-6066とUICY-20341はそれぞれ2006年と2012年の再発で、1999年発売品の品番として扱わない。
UICY-6066 2006.04.19
CD通常盤/1枚組。レコード会社の商品ページに全20曲を掲載。[3]
UICY-20341 2012.08.01
SHM-CD/1枚組。全20曲。「SHM-CD」はこの版の仕様であり、すべての日本盤の共通仕様ではない。[10]
上記2版の公式曲目は通常盤20曲に対応し、追加曲は記載されていない。1999年発売品は小売カタログでMVCT-24052として登録されているが、当時の帯・盤面・ブックレットは未照合だ。歌詞・対訳・解説の有無や1999年発売品のチャートと売上は、今回確認した公式資料では確定していない。[33]中古盤を選ぶ際は、現物の帯・盤面・ブックレットを品番ごとに照合したい。
JAPANESE RELEASE HISTORY
日本盤を、発売日と品番で照合する。
原発売日は後年のレコード会社カタログ、1999年の品番は小売登録、再発は公式商品ページと商品データで確認した。現物の装丁を比較した表ではない。
| 発売日 | 品番 | 仕様・曲数 | 確認できる特徴・資料 |
|---|---|---|---|
| 1999.04.21 | MVCT-24052 | CD / 1枚 / 20曲 | 品番・曲数は小売資料、当時の現物未照合。[3][33] |
| 2002.06.05 | UICY-3518 | CD / 1枚 / 20曲 | 商品JAN:4988005299888。オリコンの39位・16週はこの商品ページの値。[21][28] |
| 2005.09.21 | UICY-90001 | CD / 1枚 / 20曲 | 商品JAN:4988005401809。オリコンとBillboard JAPANの登録を照合。[22][29] |
| 2006.04.19 | UICY-6066 | CD通常盤 / 1枚 / 20曲 | Universal Music Japanの公式商品ページ。[3] |
| 2012.08.01 | UICY-20341 | SHM-CD / 1枚 / 20曲 | 公式商品名にSHM-CDと明記。全日本盤共通の仕様ではない。[10] |
掲載された5商品の曲目は20曲に対応し、追加曲の記載はない。ただし、曲数が同じことだけではマスター、音質、帯、対訳や解説の同一性は判断できない。2019年のExpanded Editionは追加音源を含む別構成として区別する。[13]
2002年・2005年の発売日と品番はオリコンでも一致するが、CD仕様とJANは商品カタログの情報だ。チャート順位・売上の資料へ読み替えない。
JAPAN / CHART PERFORMANCE
確認できる日本での実績
オリコン掲載の2002年6月5日発売盤(UICY-3518)
オリコン最高順位
登場回数
オリコンの商品ページに記載された数値。登場回数は週間アルバムランキングTOP300へのランクイン回数を示す。1999年初回盤の成績や、輸入盤・他の再発盤を含む作品全体の累計売上を示す数値としては扱っていない。[21]
国内での発売と再発
Universal Music Japanは日本のオリジナル発売日と、2006年・2012年の再発を掲載。オリコンには上記2002年盤に加え、2005年9月21日発売のUICY-90001も登録されている。国内で継続して販売された記録を確認できる。[3][10][22]
初週・累計売上、国内認定
今回確認したオリコンとレコード会社の公開ページには、初週・累計の販売枚数の記載がない。日本レコード協会の認定検索も確認したが、本作の認定記録を特定できず、ゴールド/プラチナの認定を断定していない。なお、認定は累計正味出荷枚数を基準にするため、店頭での販売枚数とは区別が必要だ。[23][24]
WHY IT MATTERS
Slim Shadyの登場が、転機になった。
『Infinite』からEPを通じて育った語り方が、SSLPで大きな流通と映像を得た。Dreとの出会いだけでも、挑発的な歌詞だけでも説明しきれない。名前を覚えさせるフック、細かな韻、寸劇、生活の実感が、一枚の中で接続されている。
ペルソナだから、すべての表現が批判を免れるわけではない。暴力や差別的な言葉の受け止め方は、いま聴くときにも残る。その問題を消して称賛するより、どの声が何を語り、どう笑いへ変えるのかを確かめるほうが、このレコードに近づける。
次のMMLPでは、SSLPによって得た名声と批判が、曲を書くための現実になっていく。地下から届いた声が世間に見つかった。その前後をつなぐ作品として、SSLPを聴き直したい。
FROM SHADY TO MARSHALL
成功前の生活から、成功後の視線へ。
以下は楽曲と制作資料を踏まえた、EMINEMJP.COMによる作品比較。変化のすべてをSSLPの成功だけで説明するものではない。
キャラクターと、生活の重さ。
「My Name Is」の悪ふざけと、「If I Had」「Rock Bottom」の生活実感が同居する。貧困を話す声とShadyの演技を、同じレコードで聴ける。本人の1999年の説明にも、この違いがある。[9]
名前が、世間から呼び返される。
「Stan」はファンとの関係を物語にし、「The Way I Am」は期待や批判への返答を前に出す。一方、制作はDreとBass兄弟との連続性もある。2000年の取材でEminemは、新作では自分も二人も制作の経験を増したと語っている。[25]
語り手が、音作りの中心へ。
「White America」は世間との関係を、「Cleanin' Out My Closet」は家族との関係を前景化する。公式の回顧資料は、Dreをエグゼクティブ・プロデューサー、多くの曲の制作をEminemとJeff Bassと説明する。人格の変化だけでなく、制作を担う比重の変化も聴く手がかりだ。[30]
次作で名声をどう書くようになったかは、下のMMLPカードから続けて読める。TESへの既存リンクも同じ場所にまとめている。
QUESTIONS / ANSWERS
The Slim Shady LPのよくある質問
The Slim Shady LPとは?
1999年に発表されたEminemの2枚目のスタジオ・アルバムで、メジャーレーベルからの初アルバムだ。「My Name Is」や「Guilty Conscience」を収録している。
いつ発売された?
米国では1999年2月23日。Universal Music Japanのカタログでは、日本のオリジナル発売日は1999年4月21日と記載されている。
Slim Shadyとは?
Eminemが楽曲で演じる、誇張されたブラックユーモアや挑発を担うペルソナだ。本名のMarshall Mathersと同じ人による表現であり、精神医学上の診断を意味しない。人格の解説へ →
収録曲は何曲?
通常盤はスキットを含む全20曲だ。曲順と各曲の主要クレジットは収録曲セクションで確認できる。2019年のExpanded Editionとは収録内容を分けている。
Dr. Dreはどのように関わった?
Aftermathを通じたメジャー進出を支え、「My Name Is」などの制作と「Guilty Conscience」の客演を担当した。アルバムにはMarkとJeffのBass兄弟、Eminem自身の制作も大きく関わっている。
The Real Slim Shadyはこのアルバムの曲?
いいえ。2000年の『The Marshall Mathers LP』の収録曲だ。1999年のアルバム『The Slim Shady LP』とタイトルは似ているが、別の作品だ。
日本盤はある?
ある。レコード会社で確認できる再発にはUICY-6066(2006年4月19日)と、SHM-CDのUICY-20341(2012年8月1日)がある。日本盤情報へ →
次に聴くべきEminem作品は?
まずは次作『The Marshall Mathers LP』へ。初期の変化を遡るなら『Infinite』、舞台と名声への視線を追うなら『The Eminem Show』がつながる。
ON YOUR TURNTABLE / BUY & STREAM
このアルバムを聴く・探す
購入リンクの一部にアフィリエイトリンクを含む。価格・在庫・盤の仕様はリンク先を参照。
SOURCES / CREDITS
出典・編集・画像クレジット
全34件の出典と画像クレジット
編集・解説:EMINEMJP.COM。資料確認:2026年10月8日。追加の写真・日本情報・曲別音源は2026年10月9日に確認。文体とレイアウトの更新:2026年10月10日。制作背景・日本盤比較・作品間解説の追加確認:2026年10月10日。発売日・曲順・クレジット・数字は以下の資料を照合。曲の聴きどころと人物像の整理は、本サイトの論評として記述している。
- Eminem公式:The Slim Shady LP ↗
作品と全20曲の確認。公式ページの2022年の日付は掲載日で、原盤の発売日ではない。
- Shady Records:The Slim Shady LP ↗
米国発売日1999年2月23日、通常盤の曲順。レーベル欄は現行カタログ表記。
- Universal Music Japan:UICY-6066 ↗
日本オリジナル発売日、2006年再発、曲目、MV、サンプルと制作。
- Universal Music Italia:The Slim Shady LP ↗
曲別制作・出演クレジット。現行拡張版カタログの先頭20曲を照合。
- Apple Music:通常盤/各曲の公式配信 ↗
全20曲の曲名、出演者、公式配信。
- GRAMMY:Eminem ↗
米国初登場2位、2000年の2部門受賞、Rap OlympicsからDreへ至る経緯。
- RIAA:Gold & Platinum 原表 ↗
米国5×プラチナ、認定日2022年3月8日。ブラウザで原表を確認。
- Official Charts:The Slim Shady LP ↗
英国Official Albums Chart最高10位。
- Pollstar:Eminem(1999年4月26日) ↗
本人がRock BottomとIf I Hadを実感に基づく曲として説明した当時の取材。
- Universal Music Japan:UICY-20341 ↗
2012年8月1日発売のSHM-CDと全20曲。
- Universal Music Japan:Eminem Biography ↗
Slim Shady EPを基にしたLP制作の経緯。
- Rock & Roll Hall of Fame:Eminem(2022年) ↗
Infinite(1996年)とSlim Shadyという表現上のキャラクター。
- Eminem公式:SSLP 20周年拡張版 ↗
2019年のExpanded Edition。通常盤との区別。
- Universal Music Japan:The Marshall Mathers LP ↗
The Real Slim Shadyの収録先。
- Merriam-Webster:slim ↗
英単語slimの語義。
- Merriam-Webster:shady ↗
英単語shadyの語義。
- RIAA:About the Awards ↗
米国認定の区分とアルバム認定単位。
- Rolling Stone:Eminem初期の制作 ↗
1997年のSlim Shady EP制作について。
- Eminem公式ストア:SSLP20 Collector’s Edition ↗
全20曲と、Danny Hastingsによるオリジナル・カヴァー撮影のクレジット。
- Getty Images:1999 MTV Music Awards Party ↗
撮影:Jeff Kravitz / FilmMagic。撮影日:1999年9月9日。原写真の構図と照合。モノクロ化・コントラスト調整・縮小・WebP変換。Rights-managedの写真で、個別の再利用許諾資料は未確認。
- オリコン:スリム・シェイディ / UICY-3518 ↗
2002年6月5日発売盤の最高39位・登場16週。対象盤と集計注記を確認。初週・累計枚数の公表なし。
- オリコン:スリム・シェイディ / UICY-90001 ↗
2005年9月21日発売盤の登録。販売枚数を示す資料としては使用していない。
- 日本レコード協会:ゴールドディスク認定検索 ↗
2026年10月9日に検索ページを確認。今回、本作の認定記録を特定できず。無認定を断定する根拠にはしていない。
- 日本レコード協会:ゴールドディスク認定基準 ↗
累計正味出荷枚数を基準とする認定の定義。米国RIAA認定・店頭販売枚数との区別。
- MIX / Gary Eskow:The Bass Brothers and Eminem ↗
2000-08-01 / 一次資料(本人・Jeff / Mark Bass・Aaron Lepleyへの取材)。演奏・制作・エンジニアリングの分担、The Mix Room、SSLPの機材、MMLP制作の経験。当時の取材と後年の回想を区別。
- Universal Music Germany:EminemとDr. Dreの初回セッション ↗
2017-07-14 / 二次資料(公式レーベルによる2017年ドキュメンタリー紹介)。The Defiant OnesでのDreの回想。フック着想と曲全体の完成を区別。
- New Humanist:Q&A — Labi Siffre ↗
2012-12-14 / 一次資料(Siffre本人へのQ&A)。サンプル許諾を歌詞修正まで留保したとの説明。全バージョンの歌詞が同一とは扱わない。
- Billboard JAPAN:UICY-3518 商品データ ↗
不明(商品発売日2002-06-05) / 二次資料(音楽業界メディアの商品カタログ)。2002-06-05 / UICY-3518 / CD / Disc01全20曲 / JAN 4988005299888。チャート原表ではない。
- Billboard JAPAN:UICY-90001 商品データ ↗
不明(商品発売日2005-09-21) / 二次資料(音楽業界メディアの商品カタログ)。2005-09-21 / UICY-90001 / CD / Disc01全20曲 / JAN 4988005401809。
- Eminem公式:The Eminem Show 20周年拡張版 ↗
2022-05-26 / 一次資料(公式リリース告知)。TESの制作陣と、Brain Damage / Just Don't Give a Fuckの1999年Trampsライブ収録。
- Rolling Stone India / Brian Hiatt:Eminemインタビュー ↗
2013-10-24 / 一次資料(本人取材、Rolling Stoneの記事)。MMLP2を旧曲ごとの続編より雰囲気・記憶の再訪と説明した発言。
- Eminem公式ストア:The Shady LPs Vinyl ↗
不明(商品ページの公開日未記載) / 一次資料(権利者公式の商品案内)。1999年SSLPと2024年TDOSSをまとめた4LP商品、TDOSSのGuilty Conscience 2。
- 駿河屋:エミネム / スリム・シェイディ 商品登録 ↗
不明(登録発売日1999-04-21) / 二次資料(小売カタログ)。MVCT-24052 / MCAビクター / 1999-04-21 / CD Disc.1 全20曲。現物の帯・盤面ではない。
- Mikiki / 轟ひろみ:Slim Shadyの初期作と後年 ↗
2024-12-02 / 二次資料(bounce 2024 Decemberの音楽記事)。EPのJust Don't Give a Fuck / Just the Two of UsとLPへのつながり。
画像について
SSLPオリジナル・カヴァーの撮影はDanny Hastings。[19]音楽・画像の権利は各権利者に帰属する。元の撮影者や転載許諾の詳細が確認できない項目は、その旨を画像別記録に明記している。
DRE × EMINEMの写真:Jeff Kravitz / FilmMagic、1999年9月9日。原写真の記録はGetty Images。モノクロ化、コントラスト調整、縮小・WebP変換を行っている。個別の再利用許諾資料は未確認で、詳細は画像別記録に記載している。[20]
MMLPジャケットの出典・画像処理・権利情報は画像別記録を参照。
文字組・紙面装飾・OGPレイアウト:EMINEMJP.COM。本ページはEminemの非公式日本語作品ガイドだ。
